内田魯庵山脈(下)――〈失われた日本人〉発掘 (岩波現代文庫)
内田魯庵山脈(下)――〈失われた日本人〉発掘 (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
猫丸
明治・大正期における民間学術ネットワークのカナメの位置に内田魯庵を置く。彼を中心として非官立のヨコのつながりを整理すると、だいぶ見通しがよくなった。江戸趣味から世界最先端のモダンまで、おそらく漱石に比肩し得る実力を持った魯庵の触手に引っ掛かってくる人物達がまた面白い。その中心思想に「蒐集」を見るのは、あながち山口昌男の視点に限った話でもなかろう。そうなると「山脈」の冒頭には蒐集集団「集古会」の面々がくることになる。林若樹、坪井正五郎が代表。ここからアメリカの人類学者フレデリック・スタールにリンクが伸びる.
2024/07/11
miunac
冗漫で無計画で繰り返しまたは説明不足が多く、おそらく連載後の改稿などしなかったのだろうと推察される。ただ、そういった知的閑話自体に価値があるという主題なので、そこを責めるのは当たらない。殊に関心したのは、特に日本では文学イコール小説だと思い込んでるという指摘で、エッセイや批評もまた小説・戯曲に劣らず文学の重要なジャンルであるという点である。本書の中に「畏友」として登場する坪内祐三もおそらく同じ考えであったろう。個人的には斎藤昌三と木村毅が読みたくなったが、例によって新刊書店にはない。
2021/03/30
慶多楼
それにつけても気になるのはインカの壷。
2011/02/19
石橋
魯庵の山脈というより、山口昌男の毛細血管。得られた知見がしまい込まれていた知識と結びついて、また新たな興味を生む。果てしないことがとても面白い。
2020/10/03
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