不惑のフェミニズム (岩波現代文庫)
不惑のフェミニズム (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
1988年初出では、新しい運動論として、①ローリング・ストーン型へ、②直接・参加民主主義、③スモール・イズ・ビューティフル、④いま・ここでの解放、⑤異質性、⑥自発性と創意工夫、⑦情報集中を避ける、⑧役割分担の流動化、⑨ハレの場をつくる、⑩苦楽を共にした仲間(17頁~)。 83年初出では、産む・産まないは女の権利として、理由の有無が問題になるのは悪魔のような観念(37頁)。少子化が長期的に問題を引きずってきた原因がここにあると思う。
2014/09/30
秋 眉雄
『「こんな社会」に対する女たちの答えはすでに出ている。非婚化と少子化である。』岩波現代文庫の「上野千鶴子の仕事」シリーズの一冊。フェミニズム40年間に渡る最前線からの発言集。上野さんのしてきたこと、その実績の数々には尊敬もしますが、正直いつだって彼女自身に対しては乗り切れないものを感じてしまいます。何故だろう。文章から漂ってくる、滲み出てしまう、425ページ読んでもよく分からない何か。それにしても、景気が悪い景気が悪いと繰り返し書かれている80年代90年代の、今から見るその景気の良さときたら。。
2021/10/13
kenitirokikuti
文庫オリジナルの時局発言集。上野が雑誌などへ寄稿したもの。手にするのを後回しにしていたが、解題に次に一文を見つけ、やっと上野の姿勢を理解した。〈女性学とは…あとになって「当事者研究」と呼ばれるようになる分野のパイオニアだったのだ。〉当事者(a party)の対義語は「第三者」。そうか、女性学それ自体は上野にとって当事者の立場にあるものに過ぎないのね。おれは理系くずれなので究極の「第三者」である永遠の方を信じちゃう…。別にそれが誤りということではないのだけど、われわれは何かの当事者であることの方が確かだな…
2018/04/30
Francis
日本の女性学・ジェンダー研究のパイオニア上野千鶴子がフェミニズムについて折々に発表した文章をまとめたもの。彼女の苦闘はまさしく日本の女性の苦難の歩みそのものと言える。どの文章にも彼女の鋭い感性と優れた知性が感じられる。女性のみならず、むしろ男性に読んで欲しい本。フェミニズムは女性のみならず男性にも真の解放をもたらす思想なのだから。
2012/07/25
ruka
不惑の年となったフェミニズム。上野氏のエッセイとともにその歴史を再確認できる。その時々の思いが表現されているので、非常に興味深い。女性が変わる→男性が変わる→社会が変わる、という概念に非常に納得。
2012/05/02
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