歴史・祝祭・神話 (岩波現代文庫)
歴史・祝祭・神話 (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
NICK
古代から現代までの社会での政治に通底する構造、「はたもの」の論理。ジル・ド・レーや佐々木導誉のような尋常ならざる過剰性を持つもの、逸脱者は中心的な権力を脅かし、そのことによって脚光を浴びるが、やがて権力によって再び周辺に追いやられる運命にある。彼らは「中心」の再活性化のために贖われる犠牲なのだ。後半のトロツキー論はまさに完全に脱呪術化したはずの共産主義社会すら、こうした祝祭、演劇的宇宙論から逃れられていないことを示している。中心と周辺の再生産(祝祭)が社会の深層であるなら、脱神話化は可能なのだろうか?
2015/07/30
柳瀬敬二
人は神話によって自らの内面世界に統一的な価値観を形成する。神話には自集団を結束させるための悪、犠牲の祭壇に供される生贄が必要であり、政治的イデオロギーが神話の代替物を務めた時代において生贄とは、ナチス・ドイツにとってはユダヤ人であり、スターリン独裁のソ連にとってはトロツキーやメイエルホリドであった、ということだろうか。レポートの参考文献として目を通したが、ソ連史に関して相当の知識量が読者に求められるあたり時代を感じるというかなんというか…。
2015/01/25
水菜
トロツキーやスターリンといった歴史人物をよく知らなかったので、難しかった…。第一部は面白かった。犠牲を必要とする社会、現代社会にあてはめて考えると、同じことが起こっているのではないかと思える。このようなことは歴史のなかで繰り返されているのだから、今も起こっているのだろう。未来の社会で「当時は○○が犠牲となっていて…」とか言われるようになるんだろうか。
2014/07/29
たけぞう
ジル・ド・レを扱った論があるので手に取ったが、むしろソ連政治史を祝祭・供犠の観点から読み解く後半の議論がすごく面白かった。
2014/08/21
らむだ
第一部では権力と“ハタモノ”の関係を中心に据え、第二部ではトロツキーを中心にソヴィエト革命史を辿ったスケープゴート論。歴史・祝祭・神話というテーマを局所的・共時的に語る。
2024/09/30
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