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新版 哲学の密かな闘い (岩波現代文庫)

新版 哲学の密かな闘い (岩波現代文庫)

新版 哲学の密かな闘い (岩波現代文庫)

作家
永井均
出版社
岩波書店
発売日
2018-03-17
ISBN
9784006003791
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新版 哲学の密かな闘い (岩波現代文庫) / 感想・レビュー

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テツ

永井哲学といえば独在論における〈私〉の特別性。コラムや学生に向けた講演等をまとめた論文集からもどうしたって〈私〉についての思考が繰り返される。私と〈私〉の違いについて、世界がここからのみ開闢されている不思議さについて他人と共有することは決してできないのだけれど(他人には私と〈私〉との関係性をどうしたって適用できない)そうした自分の内側でだけの戦いを、真理に到達しようともがく在り方こそをタイトルにあるように「哲学の密かな戦い」としているのかな。決して至れない真理を目指して孤独に誠実に歩み続けていく。

2023/09/06

山ろく

新聞連載コラムや高校生向け講演録を含む論文集。「〈私〉とは」「人生の意味」「〈なぜ人を殺してはいけないのか〉の意味」や、世界の存在と神の存在、私的言語論を巡る野矢茂樹批判など。ちょうどいい感じの歯ごたえ。線を引き引き付箋を貼りつつ2度繰り返して読んだ。しかし「では簡単に要点をまとめてください」となると「言葉で指し示すこと」自体がどれもテーマと密接に絡むため途端に難しくなる。「ここが難しく感じたらこっちを先に読んで後から読み返して」とか「こう言うとこんな風に理解してしまう方がいますがそうではない」とか親切。

2021/08/28

Amano Ryota

哲学の「密かな」闘いとは、どういう意味なのだろう?哲学の敵が無いものだとするなら、そもそもそれは闘いではない。でも、たぶん、そうなのだ。無いことを示す闘い、真剣な独り相撲。Ⅳ部の「言語」を読んでいて特にそう思う。「為そうとしていることは、それを為そうとするその行為においてすでに為されてしまうので、その行為によってあらためて為すことができない。(中略)だがもし、やろうとしたことの挫折によって、何をやろうとしたかが、すなわち何に挫折したかが、示されうるならば、やろうとしたことの意義は理解されうるはずである。」

2018/03/26

袖崎いたる

人生相談なんてこともやっていたようでそのときの回答も載っているのだが、これがなんとも難解なほうの永井哲学をいい意味で薄めてくれているのだ。わかりにくいほうのも入っているから、行ったり来たりして返り読み的に触れられるという点で画期的。感動したのは「ニヒリズムとしての哲学」という文章。これはすごかった。ニヒリズムの概念に唸ったね。さらには永井倫理学が向かう方向性も示唆されていて、感動的だった。価値を感じられなくとも成立している事実がある、その事実に感じる美しさ、という価値。これがニヒルであることの可能性てね。

2024/09/09

脳疣沼

永井哲学のエッセンスが凝縮されている印象がある。その分、永井哲学初心者が最初に読む本としては不適切かもしれない。

2021/07/30

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