哲おじさんと学くん: 世の中では隠されているいちばん大切なことについて (岩波現代文庫 学術 428)
哲おじさんと学くん: 世の中では隠されているいちばん大切なことについて (岩波現代文庫 学術 428) / 感想・レビュー
ころこ
会話体で書かれていて、読み易い導入と見開きの話の単位が柔らかい印象を与える。ところが、普通の言葉で会話の中に、意味を理解するというレベルに戸惑う経験がやって来て、いつの間にか読み進めることが困難になる不思議な本。ひとつひとつの言葉の意味ではなく、その世界の理解が問われているからだ。読者は論点を見失い、諦めてとりあえず読み進めようとするが、既に意味のゲシュタルト崩壊を起こしている。著者はテクストとの格闘を「ひたりつく」と表現する。そこで読者にとっては、著者の見解に同意するかどうかが問題になってくる。哲学の議
2023/02/18
き
この本を読んで、哲学に興味を持った。今の時点では理解できない部分が多い本だが、数年後、数十年後にこの本を読む時に、自分自身の感じ方が変わっているか楽しみである。
2021/01/18
テツ
文庫版で発刊されていたので購入。タイトルを一見するとわかりやすい哲学ハウツー本のように感じるけれど、まえがきで永井先生が書かれているように決して簡単な内容ではない。哲おじさんと学くんの対話からはほんの少しでも哲学が心のどこかに引っかかったことのあるぼくたちが、いつか強烈に胸に突き刺さったことのある(そして忘れたふりをしている)命題を揺さぶり起こしてくる。「なぜ」「なぜ」「なぜ」という問いで溢れ返っていた幼い頃の自分より成長した筈の大人の自分だけれど、その「なぜ」は今考えてみてもわからない。
2021/02/02
海燕
平易な文章で書かれているが、初心者向けというには高度な内容。最初は面白く読めたが、認識論とか存在論の話が延々と繰り広げられ、途中からはついていけなかった。これを読み、小学生の頃に「なぜ、自分(の魂)は他でもないこの身体に属しているのか」と考えていたことを思い出した。当時はそれが哲学の問いに発展する可能性があるなどと思いもよらず、そもそも哲学が何かもまだ知らなかった。再読する日は来るだろうか。
2021/10/14
nob
日経新聞連載時は、ほとんど理解できていなかったが内容はなんとなく気になっていた。言葉にすることが本質的に不可能な疑問。対話形式にしたのは、読者がとっつきやすいように、ではなく、対話でしか表現できないことだから。二人の(おそらくは悟じいさんも含めた三人の)議論は永井先生自身のなかでずっと自問自答されてきたことなのだろう。
2021/10/29
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