排除の現象学 (岩波現代文庫 学術462)
排除の現象学 (岩波現代文庫 学術462) / 感想・レビュー
てつ
原典は少し古く、テーマも少し古いが取っつきやすく読みやすい評論。
2024/05/06
モルテン
読んでる間、ほとんどずっとムカついていた。どうしてこんなに腹が立つんだろうと思いながら読んでいた。本書は、排除されるものたちが、どのように、何故どうやって排除されるのかを書いたものである。もとは80年代に出版された本らしい。著者は新聞記事や雑誌記事など、すでにフィルターを通した事件をさらに自身のフィルターに通して語るため、事件を著者の語りたい物語に形を変えているように受け取った。排除の構造を語りながら、著者自身も新たな排除の物語を作ってしまっている。言説分析に徹底していないので、排除の構造の解説→
2023/04/25
どら猫さとっち
いじめ、ホームレス殺害、宗教団体の批判、通り魔など、何故「異人」が見出され、標的にされやすいのか。差別、忌避、憎悪が渦巻くなか、事件が起きる。80年代に起きた事件から、共同体の暴力を読み解く社会評論。80年代に起きた事件の根源は、今も残っている。ヘイトスピーチもそのひとつだ。今、本書が二次文庫化されたことは、ささやかながら確かな希望になるかもしれない。
2023/04/23
おやぶたんぐ
〝異人“だから排除するのではなく、排除するために〝異人″の役目を押し付ける。自身を、共同体(社会)を維持するために排除を行う、という本書の指摘はおそらく正しい。もっとも、本書は、現代(80年代だが)の悪性故に状況は悪化している(〝昔は良かった″と紙一重)と述べているように思われるが、賛同できない。上記の構造は本質的、普遍的なものであって、それが時代とともに様相を変えているにすぎないのではないだろうか。あと、第5章は素朴な反精神医学に寄りかかりすぎていて、とんでもない誤解や誤謬を招きかねないように思う。
2023/04/29
kentaro mori
●秩序は差異の体系のうえに組みたてられている。差異が消滅するとき、成員たちは模倣欲望の囚人となり、たがいに模倣しあい均質化してゆく。いわば、分身の状態。この分身化こそが、差異の消滅のさけがたい帰結のかたちである。そのとき、秩序は安定をうしない、カオスと暴力の危機にさらされる。自己とその影、あるいはオリジナルとコピーが殺戮劇を演じはじめる。このような分身の普及、憎悪を完全に相互交換しうるものにするいっさいの差異の完璧な消失は、全員一致の暴力の必要かつ十分な条件となる。●排泄物はなぜ臭いのか。それはバタイユの
2023/04/12
感想・レビューをもっと見る