土地の記憶浅草 (岩波現代文庫 文芸 5)
土地の記憶浅草 (岩波現代文庫 文芸 5) / 感想・レビュー
ハチアカデミー
タイトル通り、浅草づくしのアンソロジー。小説・詩にエッセイ・評論、時代も明治から昭和まで、とかく幅広く集まっている。昔の面影や気質を残しつつ、雑多で余所者に冷淡で、でも仲良くなるとあたたかく身内扱いをしてくれる。不思議で捕らえ所のない浅草を味わうことができる。前田愛「塔の思想」はスカイツリーという無用の長物が立てられたいまなお効力を持つ。凌雲閣(十二階)という建築物は、へんてこりんなものではあったが、やはり時代を先駆けていたのだ。乱歩・犀星・川端・高見順に金子光晴、果ては小沢昭一までかつての浅草を堪能。
2014/01/27
壱萬参仟縁
幕末からの浅草学。権田保之助「大阪と浅草」(1921年初出)は関西と関東の文化的異同論。大阪は商工・職人だが東京は知識・労働者(18頁)。横山源之助「浅草の底辺」(1895年 110頁~)は『日本の下層社会』の著者だけあって、細民の住める土地との認識という。小沢昭一「浅草と私との間には・・・・・・」(1978年 225頁~)で、昨年まで小沢昭一と小沢昭一的こころが懐かしかった(みやさかさん?)。浅草の川やチンチン電車が人間的だと理解できる。ヒューマンスケール。外国人も雷門は訪れる日本文化の凝縮された地域。
2013/03/08
嘉月堂
浅草に思い入れがある著名な人は結構たくさんいらっしゃるんですね。私の記憶には,浅草寺の大きな提灯と何故か海の桟橋の風景がずーっと残ってました。提灯はともかく,浅草に海はないよなぁー。と不思議に思っていたら,隅田川の舟に乗る場所のことだと最近気づきました。祖父に幼稚園に入る前に連れて行かれたときの記憶だったので混乱していたようです。最近,つくばエクスプレスというのができまして,茨城県民も浅草に行きやすくなりました。裏通りを歩くと今でも物騒だという噂なので,残念ながら気楽に探検する気にはなれませんが。
2013/03/19
Gen Kato
再読。とにかく執筆陣が豪華。それぞれ味があって、これだけのアンソロジーはちょっとない。堪能しました。斉藤緑雨・広津和郎・高村光雲・矢田挿雲・ピエール・ロティ・高浜虚子・伊藤左千夫・田山花袋・木下杢太郎・金子光晴・高村光太郎・久保田万太郎・横山源之助・江戸川乱歩・室生犀星・北原白秋・岩野泡鳴・サトウハチロー・川端康成・望月優子・高見順・安藤鶴夫・佐多稲子・沢村貞子・小沢昭一・山田太一…
2013/08/16
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