茂吉晩年: 「白き山」「つきかげ」時代 (岩波現代文庫 文芸 30)
茂吉晩年: 「白き山」「つきかげ」時代 (岩波現代文庫 文芸 30) / 感想・レビュー
KAZOO
斎藤茂吉の最晩年を書き連ねています。身内の北杜夫だからかけたような感じがします。茂吉が今でいう、アルツハイマーいわゆる老人性痴呆症にかかって進行していく様子が描かれています。北杜夫もよく書けた、という気がします。彼が躁のころに書いたのでしょうね。もう少したってから再度通読したい気が起きました。
2024/05/16
フンフン
戦時中の大石田疎開中に、あまりにも有名な「最上川逆白波のたつまでにふぶくゆふべとなりにけるかも」ができたんだ。文化勲章のことはもう少し大きく扱うかと思ったが、さらっと当初欠席するつもりだったが、間際になって自ら行くと言い出して、入江侍従に支えられながら進んだとだけ書かれている。茂吉の廃人化進行の描写も、肉親以外は目にすることができないことで、息子であり医師でもある著者にして初めて書き記すことができたと言っていいだろう。
2022/04/25
方々亭
北杜夫による斉藤茂吉評伝全四巻の四巻目。終戦前後から昭和28年に死去するまでを扱う。北杜夫自身で言うと松本高校から東北大学医学部、そしてインターンの頃で、これから何者になろうかという時期。帰省する度に父親の衰えていく姿を見ている。自分としてはあまり関心のなかった歌人の評伝ではあるけれど、全四巻というボリュームを読み切れたのは、茂吉の強烈な個性と、北杜夫の語り口のためかなと思う。
2023/10/20
ゆかっぴ
茂吉が老年を迎え死に至るまでを描いている。晩年は痴呆の症状も出ているが、それでも歌を作っている姿もみえる。4冊を通して茂吉が何事にも一生懸命で感情のおもむくままに生きた人であるように思った。私たちは出来上がった作品しか見ないが、それらがどのように生み出されてきたものかが少しでもわかったような気がする。この4部作を書きとおした北杜夫もまた素晴らしいと思う。
2011/12/09
Kouji TANAKA
茂吉の最期、老人性痴呆、廃人などという言葉が刺さった。祖父母の最期を思い出した。
2016/12/21
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