マリリン・モンロー・ノー・リターン (岩波現代文庫 文芸 114 野坂昭如ルネサンス 3)
マリリン・モンロー・ノー・リターン (岩波現代文庫 文芸 114 野坂昭如ルネサンス 3) / 感想・レビュー
勝浩1958
十二分に堪能しました。屈折した性を悲喜劇交えて描いています。女性の悲しさも逞しさも描かれています。野坂氏はやはり心底女性が好きなのです。どのように女性を描こうと、そこには優しさがあると私には感じられます。これからも野坂氏の作品を読み続けようと思います。
2016/10/15
hirayama46
「野坂昭如ルネサンス」なる復刊企画から刊行された一冊。初期から中期の中短編から構成された、全7冊のシリーズのようですね。本書は性と死にまつわる短編を収録した巻で、なにしろ野坂昭如の濃密な文体でこのテーマなので、全体的な読み口はなかなかに重いのですが、比較的ユーモアのある語り口である「死の器」が収録されているのが良いクッションですね。性的なものが狂気に達することも多く、それもまた重いですね……。
2020/09/26
isbm
★★★☆
2021/03/26
む け
野坂昭如といえば火垂るの墓・・・みたいなイメージがあるが、この人はまるで講談師のような口調でひたすら猥雑な物語を書き出す才能を持った人なのである。この独特の文体から生まれるリズムは恐らく誰も真似られないだろう。物語自体には深いテーマとかはない(と思う)が、この文章自体から伝わってくる戦前・戦後時代のエネルギー、エログロ醜悪さを合わせて、それに特に罪悪感なども覚えずずんずん生きていく人々の濃密な生には、今の時代にも読者を強烈に引き付けるものがあると思う。とはいっても読む人を選ぶだろう。でもそれでいいのだ。
2012/12/29
康芳英
この本に収録されている「娼婦三代」には五十過ぎの女に娼婦としての手ほどきを受けた時の快楽が忘れられず、新入りの少女に同じ事をして手籠めにしてしまう百合シーンがあったりします(その後どうなるかはタイトルからお察しください)。それはそうとほとんどが色事がらみの作品な中で「老いと死」を何処かユーモラスに飄飄と描いた「死の器」が一番好きだったり。
2012/04/04
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