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黒の試走車 (岩波現代文庫 文芸 122)

黒の試走車 (岩波現代文庫 文芸 122)

黒の試走車 (岩波現代文庫 文芸 122)

作家
梶山季之
出版社
岩波書店
発売日
2007-07-18
ISBN
9784006021221
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黒の試走車 (岩波現代文庫 文芸 122) / 感想・レビュー

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まつうら

日本でも本格的なモータリゼーションが始まった昭和30年代、自動車業界では騙し騙されの激しい情報戦があった。他社を出し抜くため、つぎはどんな車を開発し、どんな価格帯で売り出すか? 下請け部品会社を調査したり、偽情報を流したりというエピソードは、現在も有効な手段で興味深い。こんな情報戦を戦う朝比奈は、ライバル社に仕掛けられた卑劣な謀略に歯噛みをする一方で、脅迫まがいの手を使った自分に自己嫌悪したりと、スパイマスターにしては感情的で親近感がわく。でも、恋人を使ってまでのハニートラップは、後悔すると思うけどなあ。

2023/01/29

Walhalla

今から60年近く前に描かれた経済小説作品です。しっかり黄ばんでいますが、ブッ〇オフでやっと見つけました。さて物語ですが、昭和30年代の自動車メーカーの熾烈な新車開発競争の中、競合他社の情報を得る為のスパイ工作が繰り広げられていますが、かつて実在していたあの会社がモデルだそうで、車種を想像しながら読めました。登場する車のスペックは今とは比較にならないほどコンパクトですし、堂々と飲酒運転するシーンが多いのも時代を感じますが、この業界の歴史を垣間見れましたし、ちょっとしたミステリー要素もあって面白かったです。

2019/04/09

Nobu A

年末に読んだ本に引用されていた面白そうな本をアマゾンで購入。かなり色褪せた中古本。昭和37年初版。自動車業界の産業スパイをテーマにしたミステリー小説。生まれる前の話。現実性の高さは計れないが、当時の情景が思い浮かぶような安定感のある筆致。現代のと比べると若干流れは悪いが、いくつか発見もあった。現在との表現の違い、例えば、粘液質→粘着質、は興味深ったし、漢語にカタカナ英語のルビ打ちが当時からあったのには驚いた。小説の醍醐味は疑似体験できること。昭和30年代を垣間見た。タイムスリップしたような感覚。

2020/01/18

まさむね

ずっと積読していた本をふと手に取ってみた。日本にスパイ小説が定着する前に書かれた本格的な産業スパイ小説、とのことだが、今の視点からすると、情報戦争を描いた小説だと感じた。高度経済成長期の自動車開発に関わる情報戦だ。真の黒幕は誰だ、というミステリ的なサプライズもある。あと、情報収集のための女性の使い方がまあ時代を感じさせるというか、やっぱりこういう世界なのかなあ、と思ってしまう。さすが流行作家だけあって、読みやすくて面白かった。

2016/09/22

Mitsuaki Saito

小説の執筆・舞台は昭和37、38年。以外に古い本でした。自動車会社間の激しい諜報合戦、主人公は業界3番手の諜報部門のリーダー、大手を何とか出し抜こうとがんばる様がよく描かれています。車を走らせて銀座のバーに行くとか、羽田空港に海外出張者の見送りに行くとか、今では見られない風物も多く描かれています。

2012/12/19

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