阿修羅のごとく (岩波現代文庫 文芸 145 向田邦子シナリオ集 2)
阿修羅のごとく (岩波現代文庫 文芸 145 向田邦子シナリオ集 2) / 感想・レビュー
ねりわさび
TVドラマ全7話のシナリオを書籍化した本。後年製作された小説と違い、向田邦子が直接書き記した台詞に鋭さが刻印されており印象深い。当時の準主役である男役たちが、男という性をばかにしているなどの理由からこの脚本を嫌がり、2ndシーズンから配役が代わるなどの裏話もあとがきにあり面白かったですね。
2022/12/31
こうすけ
女性の恐ろしさというか、怖さを描いた向田邦子のシナリオ。ホームドラマの形式で、なかなかにエグい展開が繰り広げられて面白かった。 滝子「日本語めちゃくちゃなのよ」 巻子「勝又さん?」 滝子「話す順序が人とちがうのよ。『私は昨日、東京駅で、ガマ口をひろいました』」 巻子「ひろったの」 綱子「いくら入ってたの」 滝子「例!」 巻子「あ、カラ」 綱子「なんだ」 滝子「そうじゃなくて、ゼロじゃなくて、例として言ってるのよ」 ・・・こうした会話の妙を読むと、坂元裕二が向田邦子の影響を受けたのだろうと推察される。
2021/02/07
ぐうぐう
初めて読むシナリオだと思っていたのに、四姉妹の母ふじが、夫のコートのポケットから見つけた愛人の子のミニカーを襖に叩きつけるシーンで、デジャヴの感覚に陥った。このシーンをドラマで見ていたのだろう。それほどに、女の眠れる阿修羅が起き出したこの描写はインパクト大なのだ。しかし向田邦子は、女性の怖さを描くことに主題を求めているわけではない。四姉妹の悲喜交々を通して、滑稽で情深い人間の愛すべき姿をユーモアと切実さを絶妙に配し、描ききっている。
2009/06/30
桜もち 太郎
はじめて本格的なドラマの脚本を読んだが書き手の勢いを感じた。読みながら四人の姉妹が谷崎の細雪と重なった。「おだやかな顔が一瞬、阿修羅に変わる」。女の怖さ、悲しさがこの物語のテーマだ。浮気をすることが良いことか、悪いことか、誰が幸せになるのか、時間がたてばわかる。物語もそうだし実社会にしろ。不義の恋に落ちたことのある作者の体験もこの作品に色濃く出ているのかと思う。
2016/06/01
ツキノ
NHKオンデマンドでドラマを観つつ、シナリオを先行して読む。姉妹、家族…いろんなことが渦巻くホームドラマ。なんともまぁ…というのが感想にならない感想。
2012/07/06
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