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増補 幸田文対話 (下) 人生・着物・樹木 (岩波現代文庫 文芸207)

増補 幸田文対話 (下) 人生・着物・樹木 (岩波現代文庫 文芸207)

増補 幸田文対話 (下) 人生・着物・樹木 (岩波現代文庫 文芸207)

作家
幸田文
出版社
岩波書店
発売日
2012-09-14
ISBN
9784006022075
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増補 幸田文対話 (下) 人生・着物・樹木 (岩波現代文庫 文芸207) / 感想・レビュー

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フリウリ

上巻は幸田露伴に関する対話集で、対話好きの露伴好きとしては、とてもおもしろく読みました。下巻は幸田文が得手とする着物や樹木がテーマなので、期待して読み始めたのでしたが、あまりにおもしろくなくて、逆に驚きました。語り方か、内容か、性格か(あるいはいずれもか)と惑いつつしばらく積読していましたが、そのわけをなんとなく理解したく、幸田文の本を再読しています。4

2023/08/18

つー

下巻は、幸田文が寺社再建や樹木、競馬等へ興味の幅を広げていった70年代の対談が多い。幸田は美輪明宏を「あなたには計算した強さがある。私には無計算の強さがある」と指摘するが、互いに苦労や逆境を生き抜いてきたからこそ相通じる所もあるようで、印象深い対談。女学生時代、サッサカ、サッサカ颯爽と通学していた幸田文が隅田川に落っこち、しじみとり舟に引き上げられた様子が暴露される『おさななじみ』や、馬にベタ惚れの『私は”乱れる”ほどの競馬ファン』も、小説ではわからない生身の幸田文の魅力が伝わってくる一級の対談と感じた。

2020/08/10

Susumu Kobayashi

『夢声「いや、ぼくも舞台をやっちゃあくさり、放送をしちゃあくさっている。というのは、あたしア最善の努力をしてないんですね。三分か四分の努力をして、結果が十へいきそうなもんだと思ったって、そうはいかない。(中略)生来のなまけものなんですな」』。思い当たるなあ。『幸田「だけど沢村さん、この節、福分ということいわなくなったわね。私、いい言葉だと思いますよ」』。『矢口「露伴先生という壮大な風倒木に、幸田文がみごとに生い茂ったような気がいたします」 幸田「わっはっは、寄生木、やどり木……」』。豪快な側面も見せる。

2018/03/19

pirokichi

上巻読後、YouTubeで文さんの肉声を聴いた。決して静かで落ち着いてはいない明るい声、小気味よい話しぶり。下巻はそんな文さんの声がずっと聴こえていた。対談の相手は徳川無声、美輪明宏、辻嘉一、沢村貞子など上巻同様錚々たる面面。他に昭和32年の読書を楽しむ主婦の方たちの集いも収録されていて時代だなあ、いいなあとその企画・参加者に嫉妬した。最も心に残ったのは、法隆寺宮大工棟梁・西岡常一との対談。「切るとはいい面を二つとること」「木を買わずに山を買え」かっこいい。私は松もヒノキもいっしょくた。露伴に叱られる…。

2020/07/03

amanon

前巻に引き続き、やはり父露伴とのエピソードにどうしようもなく興味が惹かれる。厳格であるのと同時に憎めない茶目っ気を発揮する姿に、平成ではありえない明治の男を感じさせる。また、個人的にとりわけ印象深かったのは、美輪明宏との対話。ここでの美輪は多くの人のイメージを裏切る程男の部分をさらけ出しているのに驚かされる。それと同時に、繊細さと辛辣さ、強靭な意志が垣間見られるその言葉に、今日に連なる萌芽が見受けられるのが面白い。それから、着物や木を巡る対話も、平成の世では気づかないその視点に虚をつかれた思いがする。

2018/03/12

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