僕は、そして僕たちはどう生きるか (岩波現代文庫)
僕は、そして僕たちはどう生きるか (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
SJW
「君たちはどう生きるか」の主人公と同じ「コペル」と呼ばれる14才の少年が主人公。叔父のノボちゃんと染色材を採りに、登校していない友人ユージンに会いに行く。そこでの発見、回想、会話、出来事がコペルを成長させていく。徴兵制、教育、集団心理、ボーイスカウト、土壌動物と様々なテーマも好奇心をそそられ、会話や回想での哲学チックな言葉や考えも楽しめた。
2021/06/11
紫 綺
単行本にて読了。よかったら、ここにおいでよ。ここが君の居場所だよ。
2017/01/15
aoringo
説教くさそうなタイトル(スミマセン)で迷ったけど手に取ってみた。鬱蒼とした森の中にある家に一人で住む少年。不登校をしている彼と久しぶりに一緒に過ごす主人公たち。やがて彼が学校に行かなくなった理由を知り打ちのめされる。自然の持つ力強さ、緑の青さが胸を打つ。そんな中で、火を囲みみんなで語らう。まず傷ついている時は自分は今傷ついているってことを相手に伝えなくちゃだめ。そして何も考えず何となく大勢の側についていることの恐ろしさ。確かにメッセージ性のある作品だったけど説教くさくはなかったです。面白かった!
2022/09/25
ハタ
ある日学校に来なくなった友人のもとを訪れる主人公コペル君。その何気なくも変えられない一日の経験の物語。吉野源三郎著「君達はどう生きるか」と似たタイトルであるところから即購入。集団心理に染まる危うさ、「普通」という言葉の認識、そして恐らく物語の主題である、戦時下の日本人の思想と本書では問題提起が繋がっていく。普段考える事を止めている腹の底から湧き上がるドス黒い感覚の正体を思春期の少年少女達のナチュラルな視点で多角的に捉えていく手法はお見事。メッセージ性の強い作品であり名著であると思いました。
2016/05/21
がらくたどん
『君たちはどう生きるか』との対比を強く想起させられる少年少女の物語。「社会」と向き合わざるを得ない状況に傷つき迷いながら道を手探りで辿る姿を里山のとある一日に託して描く。「君たちは」と自分がせめて子どもの杖となる覚悟を負う大人の存在を内包する過去作に比べ「僕たちは」と言うしかない本作の子どもたちの言い知れない孤独を想う。インジャとユージンのエピソードで大人は杖にならないどころか子どもの歩く道に砕石を撒き泥濘を作るもはや障害でしかない存在として描かれる。大人が造る悪路を杖無しで「考えて」進む姿の残酷を想う。
2022/08/12
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