現代語訳 方丈記 (岩波現代文庫)
現代語訳 方丈記 (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
こーた
戦前昭和の文豪佐藤春夫とめぐる「方丈記」世界とその周辺。流れるような訳文は、鴨長明自身の語りが現代に乗りうつったかのようで、美しい。鎌倉下向の密命を伝える旧友雅経の訪問を描いた小説「鴨長明」は、「方丈記」執筆に至る経緯をミステリ調で語って、読ませる。兼好や西行との対比をつづった他二編のエッセイでは、心理派と自然派、音楽愛好と絵画愛好などといった文学論が、さすがの鋭さで展開され、興味深い。稀代の藝術家が織りなす「方丈記」世界に、どっぷりと浸れる一冊。
2017/10/28
buchipanda3
現代語訳の三冊目として。こちらは他(ちくま、光文社)と違って、適宜意訳している。原文の端的でリズミカルな面は失われた感があるが、悠然とした文でかつ訳注不要で理解し易かった。合わせて鎌倉へ旅する前後を描いた小説、兼好法師や西行と対比した作家論を収録。中でも同じ随筆家の兼好との比較は興味深かった。著者曰く、兼好は情懐を抱く現実家で自由主義を奉ずる心理派、長明は秋霜の気を帯びた理想家で人本主義の行動派。また小説では雅経が弱さと剛気さを合わせ持つと称する。一見、矛盾のようだがそこにこそ長明の人間味があると感じた。
2024/01/08
ともとも
鴨長明の『方丈記』の現代語訳版、 世の中、人が生きるということの儚さ、無常感が伝わってきながらも、 西行や兼好との比較、解説などが解りやすくて面白い。 『方丈記』や当時の歴史が魅力が詰まった、人間が生きていくとは? を深く考えさせてくれる一冊でした。
2016/07/31
スプーン
鴨長明の悟りの境地を記した一冊。 全世界に共通の部分を書いています。 日本三大随筆の一つ。
2017/04/16
Hong Kong @新潮部2024
少し前に読んだ、稲垣さんの”寂しい生活”に通ずるところがあった。無理にシンプルに生きようとしているのではなく、でも質素に、そして、誰のためでも無く自分のための小さくても居心地のいい庵を構えること。歳の離れた友達が一人だけいること。ふむ、欲にまみれず、、、、。いいなあ〜。そのうち他の方の現代語訳やオリジナルも読んでみたい。
2022/04/29
感想・レビューをもっと見る