惜櫟荘だより (岩波現代文庫)
惜櫟荘だより (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
TakaUP48
時代小説文庫書き下ろしの先駆者となった筆者は、熱海で年中無休の量産体制に入った。その家から見下ろす場所に気になる別荘があった。岩波書店創業者・岩波茂雄が熱海に建てた建築家・吉田五十八による近代数寄屋の名建築惜櫟荘だった。それを修復し惜櫟荘の番人となるまでの作業過程や関連項目、私事がつらつらと書き並べられた佐伯だより。カメラマンとして活躍中のスペインでの堀田善衛夫妻、俳優・愛書家で有名だった児玉清、映画監督アンジェイ・ワイダの惜櫟荘の絵画などの話の他、筆者の前立腺癌の手術や愛犬との別離など印象に残った。
2021/04/19
rokoroko
兄が熱海の土砂崩れのテレビみて「せきれきそうは大丈夫か?」と言うので初めて知った。岩波書店の別邸だったのを佐伯氏が買い修復してる。書籍の売り上げでできた建築。因縁めいて面白い。本書は佐伯氏の執筆ぶりなど良く知ることできて嬉しい。そうかあれだけの本は書下ろしだったのか!面白かった
2021/07/10
Ryoichi Ito
著者の言葉を借りるなら,岩波茂雄が岩波文庫で稼いだ金で熱海に建てた別荘を,文庫本シリーズ「居眠り磐音」で稼いだ金で修復。修復の過程が主題だが,写真家だった著者が文庫本描き下ろし作家になるくだりやスペイン滞在時代につきあった堀田善衛,永川玲二,田村隆一らとの交流の記述が面白い。そして「佐伯さん,作家は読者に支持されてなんぼの存在です」と俳優児玉清に励まされた話も。 この家は文化財として一般に公開してほしい。
2019/01/16
インテリ金ちゃん
惜櫟荘の話は半分。まあ、スペインでの交友録も楽しめたからいいか...
2016/03/20
葛
著者:佐伯泰英 2016年1月15日第1刷発行 発行者:岡本厚 発行所:株式会社岩波書店 印刷:精興社 製本:中永製本 雑誌「図書」に連載 岩波茂雄 定価:本体920円+税
2023/10/09
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