この人から受け継ぐもの (岩波現代文庫 文芸 305)
この人から受け継ぐもの (岩波現代文庫 文芸 305) / 感想・レビュー
フム
吉野作造、宮沢賢治、丸山眞男、チェーホフ…と、井上ひさしが関心寄せ受け継いだものがある人物についての講演記録と評論である。井上ひさしは喜劇作家として、同じ時代を生きる普通の人々の暮らしを見つめ題材にした。チェーホフについて書いた「笑劇・喜劇という方法」に「人間は笑劇じみたドタバタ劇を演じ、時には人生の落とし穴に自分ではまっていやいやながらも悲劇の主人公さえ演じてしまう。そういった人間たちの生き方、死に方を冷徹だが温かくもある目で見つめながら人生のその真実を書き続けた」とある。井上ひさし自身のことだと思った
2020/01/16
Lara
講演とエッセイが一つになった本。「吉野作造」「丸山真男」に関しては、それぞれに、さらに読んでみたくなりました。
2019/10/19
k.m.joe
吉野作造、宮沢賢治、丸山眞男に関する講演記録と、朝日新聞夕刊に連載されたチェーホフに関する投稿と、未完だが『図書』に連載された「笑いについて」というエッセイを纏めた一冊である。 吉野作造に関する03年の講演記録では、「大正デモクラシー」思想の正当性や、日本国憲法が押し付けられたものではない事実を強調されている。
2022/11/24
yuki
「戦争責任」についての丸山真男さんについてのところが印象的でした。ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」を読んでいたので、なるほどって共感することが多かったです。井上ひさしさんの新しい一面を知りました…もっと読んでみようと思います。
2019/10/10
みさと
井上ひさしが語る「この人」とは、吉野作造の憲法・国家観、宮沢賢治にとってのユートピア、丸山眞男の戦争責任論、チェーホフの笑劇・喜劇など。難解なテーマを軽い口調でやさしく語る。さすがである。丸山眞男にからめて、井上ひさしが独自に入手した史料から、広田弘毅による、敗戦間際になされた和平交渉の仲介を依頼するための対ソ交渉のお粗末さと日本の指導者たちの情けなさの暴露が興味深い。そしてチェーホフ。そんな興味深い人がいたんだ。読まなきゃ。われわれが受け継ぐべき「この人」の筆頭が井上ひさしその人であると気づかされる。
2019/11/08
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