赤い月(下) (岩波現代文庫 文芸 308)
赤い月(下) (岩波現代文庫 文芸 308) / 感想・レビュー
タイコウチ
文庫化された際に購入したまま積読になっていたものを解凍。2001年に刊行された自伝的要素も含まれる満州国の崩壊を経験した家族の物語。著者に重なるのは敗戦時7歳の公平という男の子だが、主人公は圧倒的な生命力で子どもらを守り、生き延びる母波子だろう。「国家だけが一人化け物になるわけではない。国民も一緒になって小さな化け物になっていくのだ(…)それが愛国心のからくりだ」というのは、波子と数奇な縁で結ばれる軍人の言葉。戦後の兄との葛藤を描く『兄弟』(傑作)に比べると、映画・ドラマ化を意識した文章という印象がある。
2023/08/31
kimoiue
戦争をやるなら絶対に勝たなければならない。日本は未来永劫敗戦国のままでいなければならないのかなぁ。辛いものがある。
2021/02/07
ヤマキチ
中学生の時に、少女の目を通して満洲を描いた『二つの国の物語』(赤木由子、理論社)を読んで以来、満州を舞台にした小説に自然と手が伸びる。理由の一つは極限状態でこそ見えてくる人の心の本質に吸い寄せられてしまうから。本書も然り。
2020/01/08
Ujo Eve
☆☆☆
2020/12/24
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