101年目の孤独――希望の場所を求めて (岩波現代文庫 文芸 326)
101年目の孤独――希望の場所を求めて (岩波現代文庫 文芸 326) / 感想・レビュー
メタボン
☆☆☆★ ダウン症の子供たちのための絵画教室、身体障碍者の劇団、ラブドールの制作現場、非電化製品を作る人、山の中の自由な学校、子どもホスピス。自分にとっては非日常に映るこれらの場所でも、そこで過ごす人にとってはかけがえのないものだと感じさせる日常が、高橋源一郎の温かな眼差しにより語られている。
2023/03/06
naotan
最初は世の中で生きていく弱者の取り組みを取材したルポタージュと思って読んでいたはずなのに、気が付くと自分自身の話になっていました。客観から主観への転換が鮮やかです。読んでよかった。
2020/10/07
原玉幸子
子供ホスピス、身体障碍者の劇団、子供主体の自由な学校、ダウン症の子供達の絵画教室、老人の島、非電化発明家等への取材を通じた、「人間が生きるとはどういうことか」の高橋のルポタージュです。勿論取材先へは企画された往訪だったのでしょうが、そもそも「人間が生きる云々」とは高橋も言っていませんし、そこにある何かを(プロの文筆家なのに)上手く表現出来ていません。その意味では、本書は同氏が「図らずも」導かれて出来た本なのかと。(何故『101年目の孤独』との表題にしたのかは、読み落としました。)(◎2020年・冬)
2020/12/19
amanon
本書のオリジナルが出て十年近くを経た今、本書で取り上げられた取り組みはどうなっているのだろう?自己責任という名目でどんどん弱者と呼ばれる人達(作者はあえて弱者とは言わないけど)が切り捨てられる傾向にある。というか、この時点で既に切り捨てられようとしている現実が垣間見られる。とりわけ形に拘らない南アルプスの小学校の取り組みなど、まさに現代社会に対する真正面からのカウンター的なものだけに、色々と難しくなっていくだろうが、今後も続いていくことを願ってやまない。著者の実家尾道についてのエッセイは身につまされた。
2021/09/27
justdon'taskmewhatitwas
私も「緩やかに坂を下っている」気がする。確かに上昇はしていないし、ベクトルは横に間延びしている ──それを"多様化"と呼ぶのかも知れない。「弱さ」を自らの原点と捉えることは正しいし、それを自覚することは大事なことだ。うっすら希望も湧くだろう。ただ、私には(今のところ)、その先に待つものが、どうしても"滅亡"であるようにしか思えてならない。この本の発する声は「弱い」 ──そういう微妙なものを扱ってるから── ので、おそらく多数派には届かない気がするのだ。
2020/09/15
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