小説家の四季 2007-2015 (岩波現代文庫 文芸348)
小説家の四季 2007-2015 (岩波現代文庫 文芸348) / 感想・レビュー
ゆきらぱ
飄々として格好の良い文章だ。エッセイであるので、日々の暮らしが描かれているが作者は周囲の多くに名字ではなく「正午さん」と呼ばれる。ショウゴという名前の響きはもともと良いがそこに正午というこの意表をつかれた漢字が使われているのでますます文がクールになり味が出る、のではないかと思った。計算され尽くした文体。内容の面白さも◎
2024/04/01
majimakira
二冊同時刊行分の、少しだけ大切にとっておいた二冊目。(以下続刊にも期待の前提)こちらは純粋に既刊の単行本「小説家の四季」の文庫版とのことだが、巡る季節の中で記される正に「文芸的身辺雑記」として、一冊目からの自然な連続性が保たれた独特の味わいを楽しめる。本作の起点となる2007年の直前まで、佐藤正午氏がややコンディションのよくない時間を過ごされたとのことはとても心配だったが、復活されてその後の名著も生み出されており何よりだ。別の著作である「小説の読み書き」やその中で綴られる著者の読書観にも関心が湧いた。
2023/05/06
O-chami
後編は51歳~還暦迄、「身の上話」(戸田恵梨香)、「鳩の撃退法」(藤原竜也)等々、大きく認知されていく過程での作家の日常。1991年の“スパゲッティ効果”がその10年後~20年後と続く醍醐味や、冷蔵庫理論・ほくろ理論等発想の面白さと併せ、次作に繋がるヒントも垣間見える楽しみ。あとがき(後編)も勿論面白い、そしてちょっぴり切ない😢今も岩波ホームページで連載中、いよいよ「月の満ち欠け」で直木賞ブレークに至る続編に物凄く期待です🙋BGMは「あの頃のまま」🎶 ブレッド&バター ~作者バージョンのユーミンで✨
2023/02/12
ponnnakano
前編の感想で急がずに読む、と書いたものの、結局すぐに読み終わってしまった。くすくす笑ったり声を立てて笑ったりしつつ。隅から隅まで面白い。あとがきの謝意でさえ面白い。世間的には、こんなめんどくさい人は敬遠って思う方が多いのではないかと想像しますが、僕はこんなに自分に合う小説家は他にいないと感じており、この面白さを共有できる人がもっと増えてほしいような増えて欲しくないような微妙な気持ちです。で、スパゲティの話や、理想のサイン会の話、好きです。前編で読み返したくなったアンダーリポート他を読みながら新作を待つか。
2023/01/25
バーベナ
定点観測のように、佐世保在住の小説家の暮らしを眺めらえれる幸せ。淡々と暮らしているだけなのに、おそらく華やかなことはさけて書かれているのに(勝手な憶測)、面白い。あの林檎トーストが出てくることに感激、遠い記憶が蘇った。また読み返そう。
2023/06/12
感想・レビューをもっと見る