戦下のレシピ――太平洋戦争下の食を知る (岩波現代文庫)
戦下のレシピ――太平洋戦争下の食を知る (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
佐島楓
あまり悲壮感はない。それゆえに戦中から戦後にかけて忍び寄ってくる飢えの苦しみと、著者の当時の軍部への静かな怒りが際立っている。ずいぶん前から参考にしたくて復刊を待っていた本なので、文庫化はありがたかった。
2015/11/23
Nobuko Hashimoto
1940年代の婦人雑誌『婦人之友』『主婦之友』『婦人俱楽部』に載った料理のレシピを通して、戦争中の食の世界へ読者を誘います。ていねいな調査にもとづく実証にユーモアと鋭い批判を散りばめた、読みやすくも刺激的な一冊。関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊で取り上げました。斎藤美奈子さんの本はどれもこれも面白くて、いつかどれかを紹介したいと温存していました。8月だからというわけではなく、おすすめ! https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=202467
2024/07/27
びっぐすとん
再読。主に婦人雑誌から見る戦前から戦中、戦後の食事について。料理は愛情!的なイメージは婦人雑誌が読者層向けに作ったイメージで、主婦なる存在も明治以降のもの。それ以前は庶民の食事はごく単純なもので調理というレベルじゃない。戦前は私ですら食べたことのないハイカラな料理を紹介していた雑誌も戦局の悪化と共にサバイバル料理に。魚ならなんでもいいとか、分量はなし、手に入ったもので、みたいになる。レシピ考案者は自分で試食したのか?と疑うような料理も。同じ草を食べるでも、奈良時代は元々食用としていたから立派な食材だが、
2020/05/30
びっぐすとん
図書館本。これはかなり考えさせられる内容。飽食の時代と言われる一方、人口増加や環境変化で将来的には食糧不足が懸念されている現在、日本人は70年前草の根まで食べ、主婦雑誌に昆虫の食べ方が載るような生活をしていたことを知るべきだ。今で言えば家畜の配合飼料や鳥の餌みたいなもので、これは料理じゃない。国会議事堂の前庭が畑になってる。当時の政府、軍部は何から何まで考えが甘い。銅像溶かして大砲作って、雑草や昆虫食べてる国が戦争に勝てるわけがない。祖父は冬瓜が大嫌いだった。恐らく貧しい時代にイヤという程食べたのだろう。
2018/11/08
ミス レイン
日中戦争から終戦までの食生活の変化と実情を当時の婦人雑誌のレシピページから読み解いていくのだが、「戦争で」とくくっていた食糧難の原因が外国からの輸入停止や凶作等理由が色々あることが目新しかった。戦争とは食料がなくなることであり、食料が確保できないのは政府の責任とあるが、その状況下のレシピが通常食べ物と認識していない動植物をいかに食べられるようにするかに変化していく様を見ると本当に個人レベルでは限界があるのが分かるし伝統料理の分断になったのも頷ける。食料自給率の低い日本のもろさを痛感した。
2024/01/13
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