機会不平等 (岩波現代文庫)
機会不平等 (岩波現代文庫) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
教育基本法第10条と、教育を警察に近い権能と見なす発想も強烈(102頁)。私は、社会科研究室に居た時、確か、万引きなどの問題行動の生徒が、ベテラン教師からの「取り調べ」を受けていたのを知っている。これは、その生徒のためになるのだろうか? 社会人となったら、警察で同じ取り調べを受けるだけで、矯正しないのではないか? 勤務先任せの納税システムが徹底している先進国は日本以外に存在しない(174頁)。社会ダーウィニストが最も憎むのは、平等や公平の思想である。
2017/09/03
makio37
"劣っている"と判断された子供は積極的に無知で"実直な"人間に育て、浮いた労力で少数のエリートを伸ばす。それが「"ゆとり教育"の本当の目的」とその元責任者が語るのには驚いた。また、日経連が導入を呼びかけたとある"雇用ポートフォリオ"の考え方は、今まさに自分の会社でも現実化していると感じる。"機会不平等主義者"たちは「グローバリズム」や"世界市場の中での競争"というレトリックで自らの欲望を正当化している、とある。労組の委員長の発想も彼らとあまり違いはないようだ。他者の心と境遇に対する想像力は失わずにいたい。
2018/10/07
YNR
階層化される社会。派遣、介護、教育、育児など各章があり、興味深い。東京医大問題然り、最近、こういった機械の不平等は社会的注目を浴びている。
2019/01/16
hal
最初に出版されたのは2000年だが、現在からみても問題設定の方向性に違和感は無い。巻末2016年の対談とのつながりもスムーズ。著者が危惧した方向へ、この社会は突き進んできているように思える。上記対談では“精神”が最後の砦だと著者と森永卓郎が話しているが、そこに体制が手を突っ込もうとする法律が成立しようとしている。全体に“カタイ”感じがするのは本の性格上仕方ないか?ドキュメンタリーの部分は迫力あり。
2017/03/14
huyukawa
意見が定まった人のレポートは読みにくいことが多い。特に自分と違う意見のものは。ただ、本書は考えさせられることが多くあった。本書の文献や分野を掘り下げるために自分でも調べたい。特に遺伝の話など。最近は遺伝よりエピジェネティックなものの方が話題としてはホットだ。こちらの方がより先に格差につながると考える。また、平等についてもいくつか考えた。平等の軸を設けてあまりにもひどくかけ離れた格差を論じていかないと現実的ではないように考える。
2017/03/07
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