戦下のレシピ: 太平洋戦争下の食を知る (岩波アクティブ新書 37)
戦下のレシピ: 太平洋戦争下の食を知る (岩波アクティブ新書 37) / 感想・レビュー
ぱせり
「食糧がなくなることが戦争なのだ」という言葉は強く響きました。実際飢えて死んでいく人もいる。生き抜くためには、草の根まで、土を払ってそのままかじるような日々に、それでも、食は文化である、との姿勢が残っていることに、驚きます。この文化は一面奇妙奇天烈ですが、お気楽なものではなくて、壮絶な戦いでした。
2010/10/04
Book Lover Mr.Garakuta
【図書館】【速読】:戦時下の食事に関する解説。困窮してたんだなと思う。
2022/01/29
Shin
何故か妻が図書館から借りてきて、面白かったと薦めてくれた本。人間は、食べなければ生きていけない。その当たり前のことが脅かされるのが戦争なのだなと思った。なけなしの食糧とも言えないモノを食べられるようにする知恵は、勝ち目のない戦争を限界を超えて続けた愚かさと滑稽なまでのコントラストをなしている。国家レベルの過ちのツケを現場と家庭の犠牲と辛抱で乗り切るという構図は、節電騒ぎに終始した現代の日本も何ら変わることはない。色々考えさせられる思わぬ掘り出し物だった。
2011/10/31
ことぶき あきら
戦争中は食糧がなかったといいますが、具体的にどんな状況だったのか、本書を読めばある程度分かるのではないでしょうか。盧溝橋事件あたりから終戦までの婦人雑誌を参考にしながら、戦下の食生活を解説しています。戦前の都会の食生活は結構豊かだったんですね。しかし戦争が激化するにつれ、代用醤油や代用砂糖、卵を使わない代用マヨネーズ…だんだん悲しくなってきますね。戦争の大部分は、物資の調達、運搬、配分といったいわば「お役所仕事」。日本政府と旧日本軍はそこを甘く見ていたと。岩波現代文庫から新版が出ています。
2016/07/13
あらたま
手作り=母の愛というレトリックがこの頃の女性誌によって生まれたというのはなるほど。主食=米でプラス漬物くらいが一般的だった時代、食事に凝る発想はなかったし、それが母親(専業主婦という新キャラ)ということもなかった。富裕層は女中がいたし、農村では女性も労働力だから食事に手間なんかかけなかったと。共同炊事が始まった最初はカレーとか作ってたのに、4年経った末期は「良い重湯の作り方」みたいになってるの笑えない。うどん寒天やら興亜パンとか国策炊きとかひでえ時代があったもんだよ…。軍事輸送優先で食が犠牲になる。
2015/04/22
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