KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

讃歌

讃歌

讃歌

作家
篠田節子
出版社
朝日新聞社
発売日
2006-01-12
ISBN
9784022500892
amazonで購入する

讃歌 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

みも

名状し難い感銘を受けた。手を抜かず丹念に綴るディテールがリアリティを形成する、端正で品格のある筆致。豊かな語彙力で表現し難い朧げな音楽に輪郭を与え、その形状をも明確化する手法は見事。TV制作者の一人称で語られるが、偏向の無い複眼的立脚点で多角的に検証している。週刊誌記事や売名行為の評論、無責任な大衆の毀誉褒貶や誹謗中傷に翻弄される姿には、高揚感と熱情と哀切があり、悪意は微塵も見当たらない。虚像は創られるものであろうが、祭り上げられた人物の苦悩は計り知れない。千差万別の見方はあろうが、僕は隠れた名作と見る。

2017/10/28

tama

図書館本 自分の目から流れ出した涙が本物なら、別にそれ以上の権威付けも物語りもいらないじゃん、と思っちゃうのは「非生活者」となってしまったからだろうか。

2013/08/03

ゆうゆうpanda

挫折から立ち直り、感動的な演奏をする女性ヴィオラ奏者を、儚げに美しく表現した第一章。転じて、二章以降はドキュメンタリー番組を作る危うさを実感する怒涛の展開。話題になった「現代のベートーベン」と銘打つ「あの人」の例が頭をよぎった。彼女の奏でる音色は芸術か叙情か?音楽に造詣がなく、聞き分けられる力のない私には、彼女が天使か悪女かを判断する術もない。テレビ業界という海千山千が闊歩する中で、男性よりむしろ女性陣のほうが強い信念を持っているようで、ヒロインも含め女性の強さが際立つ内容。その部分については爽快だった。

2015/03/14

米倉 涼子

★★★☆☆2時間通勤から解放され、拘束時間が減った結果、読書をする習慣から少し離れてしまった。そこに来てこの心理戦の様な難しい内容の本を手に取ったため、人間不信に陥りそうだ(言い過ぎ)ともあれ、プロの技術に魅了され、そこに金を出す聴衆観衆。しかしプロの世界からは失格というレッテルを貼られる。このジレンマを抱え死を選ぶほどに悩む。ゴルフでもそうだ。スライス等に悩み、練習を重ねてもしっくりいかず、やればやるほど下手になっていく気がする・・・違うか。要は、程々が平和に過ごす秘訣。

2022/07/15

ガブリエル

テレビに限らず、感動の物語に懐疑的な私にとっては「やはりね!」の印象。これはあくまでも物語だけど、限りなくこれに近いことが番組制作の現場をはじめとして行われているのではないか。感動を呼ぶようなシナリオに沿った絵作り。ドキュメンタリーという名の「ドラマ」作り。安易な感動を欲する視聴者がそれに拍車をかける。技術的に素晴らしい演奏が必ずしも売れる訳ではないということ。プロの音楽家の悲哀。 テレビと、音楽の世界の問題を決して堅苦しくなく描いた上質の社会派小説だった。

2017/10/13

感想・レビューをもっと見る