ドーダの近代史
ドーダの近代史 / 感想・レビュー
harass
東海林さだおの自己愛を強烈に表現する人を「ドーダの人」という考察に感心し援用したシリーズ三部作の一つ。日本の近代史の人物を取り上げる。水戸学、西郷隆盛、中江兆民、頭山満など。相変わらずの名講義振りであり、やや乱暴で飛躍する論理展開がゆえの意外性の面白さが感じられる。特に西南戦争を引き起こした西郷の心情は、その後の日本社会で類型ではないかという指摘に鋭さを感じる。勝つためのリアリズムの戦争ではなく、ロマン主義的革命であると。引用も多いのだが、読み物として楽しめた。
2018/02/04
mawaji
だいぶ前にNHK週刊ブックレビューで取り上げられていて気になっていた一冊。東海林さだお氏の提唱するドーダ学がフランス文学者である著者の解釈でここまで膨らむとは。ドーダ心と階級的ルサンチマンをバネに勃発した尊王攘夷の革命が水戸学→西郷隆盛→中江兆民の日本近代史の流れで展開され、プロ野球のアナロジーを用いてわかり易く噛み砕いて解説されていますが、ルソーと兆民との比較文体論のあたりはちょっとムズカシかった。ドーダ理論というと小泉純一郎を思い起こしてしまうのですが、現代の劇場型政治まで連綿と繋がっているのですね。
2013/07/03
メルセ・ひすい
9. 17 ドーダ参ったか ? ? ドーダとは、自己愛に源を発するすべての表現行為である。これを用いれば、水戸学や西郷隆盛、中江兆民など文学から革命運動までを解明できる。真面目ながらも抱腹絶倒な近代通史の試み。
2007/08/09
takao
☆病みつきになるおもしろさ。著者は、ドーダの定義に、「自己愛」を用いているが、「(自己)正当化」かな。 ☆とんでも本のような気もするが、こういうシンプルな人間の心理・彩から発想・行動を読み解くのも意外とあたりかも。 (関連)東海林 もっとコロッケな日本語を あしこ
2019/08/15
shushu
東海林さだおのドーダ論を日本の近代史にあてはめて、水戸学、西郷隆盛、中江兆民、頭山満の言動を分析してみた作品。特に西郷隆盛の影響が、第二次大戦の無謀さまにまで及んでいる、というあたりは独自な視点か。西郷浮きの文筆家と対談してみてほしかった、なーんて。
2016/05/12
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