たすけ鍼
たすけ鍼 / 感想・レビュー
Miyoshi Hirotaka
東京が西に開け出したのは明治以降。天保年間(1830年代)の江戸は門前仲町、木場、深川が商業、金融、職人の街。というのは、米や酒、木材という重量物には水運が不可欠だったからだ。また、運河掘削や荷役に大量の雇用が生まれた。肉体労働者は、濃い味付けを好んだので、醤油の需要が増大。銚子、野田という産地とそれを結ぶ流通が形成された。物語は医は仁術を信念とする鍼灸師が主人公。仙台堀、大横川、永代橋など往時からの交通の要所が登場人物の行動範囲。実は、これらはわが家の近隣に今も実在する地名。下町が生き生きと見えてくる。
2023/12/07
wasabi
現代でもかような鍼灸師なり医師なりがいてくれたならば、是非ともかかりつけにしたい。いかにも著者らしく、病の見立てと治療の腕前はもとより、信義に厚い人物を立てる。儲けに一途な大店の商人も、藩の財政を預かる奉行も、染谷に説かれては肯くしかない。他者の痛みを除き、命を救う。さらには、武芸達者で齢を重ねても護身に長けているのだから、非の打ち所がない。そりゃあ一度でも交わり、世話になれば虜になるわけだ。しまいには、飢饉を避けんと政にも乗り出して手腕を発揮する。奥方の太郎がまた、名前だけでなく、なかなかの男前なのだ。
2023/11/30
シュラフ
江戸深川の鍼灸師である染谷が主人公。山本一力版の赤ひげ診療譚といった感がある。染谷は鍼灸師として腕がよく一本筋が通して深川の街を愛している、深川の街の人たちもそんな染谷が深川にいることが自慢である。染谷に共感する人たちもいる。商家の主は命を助けられたことに恩義を感じて、染谷のために、そして深川のために鍼灸師の学校運営を援助する。山本一力お得意の、江戸の街の人々の心意気の物語である。
2014/04/13
sena
山本一力らしい作品。鍼で人助け。出てくる人はよい人ばかり。でも謎は謎のまま?これで終わり?と焦っていたら続編があるらしいと知ってほっとした。こんな中途半端で終わられたら困るよ。
2012/04/09
むつぞー
悪くないけど…どこか中途半端な感じです
2008/03/02
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