銀河に口笛
銀河に口笛 / 感想・レビュー
財布にジャック
また朱川さんにノックアウトされました。懐かしすぎる・・・セピア色の思い出を、こうしてあっさり本にしちゃう作家さんなんですよね。秘密基地や少年探偵団が宇宙と結びついちゃう壮大なお話なのに、現実的な問題も提起してある、そんなバランスの良さが素晴らしいです。登場人物に混じって少年少女の頃に戻って冒険が出来て嬉しかったです。
2010/11/04
けい
昭和40年代に小学生だった少年・少女?達が出会った不思議な少年リンダと、ともに過ごした2年足らずの濃厚な時間と出来事を綴った連作短編集。濃厚に漂わせる昭和40年代の雰囲気、ウルトラQや仮面ライダー、魔法使いサリー等のエッセンスも盛りだくさん。嫌な事やつらい別れがあるときには、口笛で「銀色の道」を夜空に向かって吹いてみよう。
2014/02/15
ちはや@灯れ松明の火
ねぇ、キミは憶えているかな。夏空に閃く流れ星から始まった、僕たちが一緒に過ごした時間を。空き地の秘密基地、少年探偵団、真夜中の探検、ライダーカード、ヒーローと魔女っ子、小さな世界を満たしていた胸躍る冒険たち。季節が巡るたびに少しずつ大人に近づいていく。口に出せない心の悩みや寂しさ、理不尽な大人の世界と子供の力の限界、別れの痛み。キミがいて、みんながいた。思い出を辿れば胸の奥のセピアに変わった景色を虹の七色が塗り直していく。まだ、キミを憶えているよ。一緒に見上げた銀河も、遠く遠く鳴らした口笛も。
2010/08/01
しろいるか
この装丁のように、日が沈み空の色が変わりだすまで外で遊んだ懐かしさそのままのノスタルジック・ファンタジー。ホラー要素は一切ない白朱川です。モッチ、ニシ、ムー坊、エムイチ、後から仲間入りしたミハル、そして転校してきた不思議な少年リンダ。彼らはウルトラマリン隊を結成し身の回りの小さな事件を解決する…こんな風になにかやってやろう!と団を組んだり、小さな冒険をしたりするのは、子供の頃誰もが一度はやってみたこと。今の子供にも読んでみてほしい。小松さんの話は、子供の無力さをまざまざと感じてとても辛かった。
2012/10/21
kishikan
今、好きな作家を5人挙げなさい、と言われたら、僕は間違いなく朱川湊人をその一人にするだろう。始めて「都市伝説セピア」を読んで以来、ちょっとホラーで、でもノスタルジーを感じさせる街の描き方が他のミステリーやホラー小説と違う、後味の良さに魅かれていた。「フクロウ男」もホラー要素は強いけれど、それでも昔の懐かしさがあり、あっというまに読み終えてしまったことを覚えている。近頃は、ホラーチックというよりは、記憶の底に残る少年時代の不思議を描いたものになっている。今回もそうした遠くなった思い出を描いた素晴らしい作品だ
2010/08/22
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