あいさつは一仕事
あいさつは一仕事 / 感想・レビュー
ドン•マルロー
丸谷氏のいわゆる挨拶シリーズとしては三冊目となるそうだ。一口に”あいさつ”といっても、結婚式や葬儀、文学賞の受賞式といった堅苦しいものから、スナックの開店30周年を祝う会といったほっこりとしたものまで幅広いシチュエーションを網羅する。最も丸谷氏にはそれはあまり関係ないらしい。全てのスピーチにぴりりとした辛味と小気味良いジョークとが渾然となった、丸谷節が炸裂しているのだから。2000年以降のものを収録しているだけあって葬儀や偲ぶ会がやたら多いが、中でも親交の深かった井上ひさしお別れの会でのスピーチは絶唱だ。
2016/04/25
σ(-。-)
挨拶の原稿って見る機会がないから、とても、勉強になる一冊だと思う。仮名遣いもキレイ。こーゆーちゃんとした大人が育っているのだろうか。大学はキチンと機能しているのだろうか。さびしく思う一冊でもありますね。
2012/09/21
月華
図書館 2010年9月発行。表紙の穏やかな絵が見ていて癒されます。和田さんとの対談が本音のあれこれ、という感じで、読んでいて時々くすっとしてしまいました。
2017/05/17
ニッポニア
天才でない限り、何よりも事前準備が大切。突然の指名もそれとなく空気を感じたらすぐに構想を。なにもしゃべらない挨拶のこの工夫よ。
2016/10/04
テイネハイランド
図書館本。丸谷才一のおそらく最後のスピーチ集。この中では、2010年の井上ひさしさんお別れの会での挨拶が出色の出来。文芸評論家平野謙の、1930年代の日本文学の見立て(芸術派と私小説とプロレタリア文学の三派鼎立)を現在に適用して、井上ひさしを、その戯曲を含めて、プロレタリア文学の正当な後継者と述べたあたりはなかなか鮮やか(芸術派→モダニズム文学の後継者は村上春樹、私小説の後継者は大江健三郎)である。巻末の和田誠との対談の出来もいい。
2014/11/22
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