花宴
花宴 / 感想・レビュー
じいじ
また一人、好きな時代小説の作家と小説に出会うことができた。つかみの情景描写の美しさに魅了される。武家の家に生まれた女・紀江の波乱万丈、哀歓の生涯を綴った物語。病死の母の「幸せにおなり、わたしのように…」は含蓄に富む言葉。厳格だが大らかで磊落な父と娘の日々の会話が面白く、ほっこりとした気分にさせてくれる。夫の胸に抱かれながら、失った許嫁の名を心で呟く。その償いのために夫の子を授かることを願う…。いとしく切ない。エンディングが感動的。夫婦の絆の強さを深く考えさせられた。読みながら紀江に恋をしていました。
2016/02/08
ゆみねこ
初恋の人と結ばれることが出来ず、寡黙で穏やかな勝之進と夫婦になった紀江。ようやく授かった娘の死、信頼する父の急死。夫の行動への不信と初恋の男への想い。すべてが明らかになったときの紀江の行動と悲しい結末、切ないけれど印象に残る1冊です。
2016/07/04
kazu@十五夜読書会
「夜叉桜」シリーズという素晴らしい時代劇を書かれたあさのあつこさんの長編時代劇。代々、嵯浪藩の勘定奉行を務める西野家の一人娘・小太刀の名手である紀江は、藤倉勝之進を婿に迎えるが、かつて思いを寄せていた三和十之介への募る思いを消し去ることはできなかった。うしろめたさに苦しみながらも、慎ましい暮らしを送っていた彼女だが、ある朝、何者かに斬られ、血まみれとなった勝之進が告げたのは、藩内に蠢く禍々しい策謀の真実だった。納戸の廂の下に巣を作る燕の情景を絡めて、父と奉公人のおついとで緩やかに進む娘時代から⇒
2013/06/15
nyanco
時代小説はあまり得意分野ではなく、町人の人情物はいくつか読み始めたのですが、なかなか枠を広げることが出来ずにいます。今回のあさのさんの作品もどうしようか…と思ったのですが、本当に読んで良かった!十之介と紀江の手合わせのシーン、剣を合わせることにより、どんなことよりも二人の心を絡ませていく様にまず圧倒された。真剣な試合中でありながら、二人の心がどんどんと絡み合っていく。お互いがこの人しか居ない…と、想い合える相手に巡り会えた。しかし、運命は二人の仲を引き裂く。続→
2012/08/07
Norico
表紙のツバメの番が、読み終わって見ると切ない。勝之進さんの優しさや相手を包み込むんであげられるような大きさに惹かれます。紀江さんの心がもう少し早く溶けていたら…と思うけれど、お父さんの仇を討つために、勝之進さんは最後まで何も言わず、一人で秘密を探っていたんだろう。それにしても、十之介、最後まで手を抜かずに戦うとは…彼なりの決着のつけ方だったのかもしれないけど、小さい男っぷりが残念すぎます…
2015/02/23
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