しろいろの街の、その骨の体温の
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しろいろの街の、その骨の体温の / 感想・レビュー
風眠
時の移り変わりは時として、とても残酷だ。白と灰色のニュータウン、道が伸び、次々と建て売り住宅が並ぶ街。開発途中で止まった街。そんな街と同じように、伸びる骨、膨らむ体、仲良しだった3人の少女たちが中学で振り分けられる。「こんな街大嫌い」と少女は言う、それは自分が大嫌いと同義語。クラスカーストによって値付けされた自分、本当は憧れているのに諦めたふりをしている、思春期という一時期。環境に左右されない「幸せさん」男子の伊吹が大人過ぎて、リアリティに欠けるところもあるけれど、一方で彼の存在は物語の救いとなっていた。
2014/02/23
優愛
秘密や好意で繋がり一人じゃないと思いたかった。教室に渦巻く感情や生き物さえも許さない程の清潔感溢れる白い街では息も出来ない私を、密かな支配を求めた私を君は嫌いだと言う――私だって嫌いなの。思い通りにならない君や友達も、私を置き去りにしていくこの街も。思ってもない言葉を発する事でしか生み出せなかった温度をどうか消さないで。私が代わりに認めてあげる。本当はあの子が大好きだった事、本当は誰よりもこの街に縛られていた事。歪な感情が向き合うことを待ってる思春期、あの頃君達に出会えていたら私も同じ様に君達に触れたい。
2015/10/21
おしゃべりメガネ
読友さんからのコメントどおり、いや予想以上にあらゆる意味で‘衝撃的’な作品でした。村田さん作品は『授乳』や『マウス』でシリアスながらも、どこかホンワカした余韻を残す作風のイメージを自分の中でひきづっていましたが、かなりエゲつないディープインパクトな作風で、ジワジワと責めてきます。本作は小学生から中学生までの一人の女の子の目からみた、よくある思春期のひと風景をこれでもかというくらいシリアスかつダーティに書き綴っています。目を背けたくなるくらいな女子特有の世界をリアルすぎるくらいに描いています。女子って大変。
2015/01/31
めろんラブ
自意識の奴隷となる時期をどのように過ごすのか。これは思春期・青年期の大きなテーマ&魅力的な題材であり、これまで多くの作品が残されている。だからこそ、作家の個性と力量をはかる試金石となりうるのかも。村田氏がここで描いた少女の内面的な残虐性の発露は少々エキセントリックに過ぎるとは感じたが、所謂”健全な子供”幻想に蹴りを食らわせて、ただれた剥き出しの自我を余す所なく投げ出してみせた氏の所業には戦慄を覚える。タイトルを含め、暗喩の巧みさにも舌を巻いた。同世代の作家たちがこぞって氏を推すのも、むべなるかな。
2015/04/08
抹茶モナカ
思春期特有の自意識とスクールカーストの小説。中学生の残酷さがよく描けていて、自分の学生時代を思い出した。僕も、結構、気持ち悪い人として暮らしていたから、身につまされたりもして。主人公の女の子は、結局、自分と向き合うけど、怖い女の子で、最後の方で『自分の中の音楽』というキーワードが出て来るけど、ちょっと唐突な感じがした。
2016/02/28
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