宿神 第三巻
宿神 第三巻 / 感想・レビュー
nico🐬波待ち中
己をこの世に繋ぎ止めていた恋しい人を喪い、西行はさ迷い歩く。その上、自分を陰ながら支えてくれた女性さえも喪ってしまい、ますます途方にくれる西行。そんな中都では、幼馴染の平清盛が深く関わる保元の乱が勃発。これまでの雅な貴族社会から一転、男達の野心まみれる激しい乱闘が都を真っ二つに割く。西行はただ清盛の行く末を見守るしか術はない。人の心の中に在る業。自分ではコントロールできない厄介な「鬼」の存在を西行は改めて思い知る。歯痒い思いを抱えながら、清盛の修羅の道を見届けることが西行にできるのか…最終巻へ続く。
2019/07/30
文庫フリーク@灯れ松明の火
【惑いきて悟り得べくもなかりつる心を知るは心なりけり】璋子に仕えた堀河尼に「私は逃げたのでしょう。出家したのは己れから解き放れたかったからでしょう。しかし、逃げられなかった・・・」と述懐する西行。璋子崩御の後、互いに求め合いながら別れた西行と鰍(玉藻)。桜の下、添い合うたとて誰が責めよう。逢えば別れが世の定め。人は束の間生きて死ぬ。それを想えば心の通い合う一時、一時が、どれほど貴重なものか。その一時は宝玉の如きもの。心ならずも愛する女の首を掻き斬った文覚は言う。欲を手なずけ、己の野心に使うて→
2014/04/03
よこたん
“人の住むところに、鬼はおります。奥州にも、都にも。鬼は、人の心に棲むものでござりますれば…” 鬼が棲んでいなければ、ここまで酷いことなぞできはしない。いかに抗おうと、大きく動き出した流れは止まらない。やらねば、いつか自分がやられるという恐れは、決して生き返れないように首をはね、決して弓を引けないように弓の名手の筋を切り、引き抜く残忍さに変わる。鬼よりも、恐ろしいのは、人の心のほうか。修羅の道を行く清盛の覚悟を知った西行は、何処へ向かうのだろうか。史実がずしりと重くのしかかってくる。
2019/06/18
KAZOO
第3巻になるといよいよ、保元の乱の始まりの兆しから乱そのものの終着までが息もつかせずに読ませてくれます。また西行のこころの煩悶などもわかりやすく、西行の歌などでも表現されています。次が最終巻ですがどこで決着をつけるのでしょうか?楽しみです。
2014/05/11
たいぱぱ
迷いながらも、人として成熟していく西行(義清)。迷うことなく自分の道を突き進み、身内も切り捨てる鬼をも育てつつある清盛。同じ土俵に立っていた二人の対比が興味深い。人は誰でも心にこの二人を抱えてるのではないだろうか。鰍の死は残念だが、保元の乱辺りから物凄く盛り上がってきた。凄く続きが読みたくて仕方がない!
2013/08/03
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