明治・妖モダン
明治・妖モダン / 感想・レビュー
エンブレムT
明治と名を変え20年 レンガ造りの町並みの 夜を照らすはアーク灯。しかして通りの裏手には 昔ながらの長屋が広がり 囁かれるのは妖しの話。江戸の闇夜を闊歩した 妖したちはどこ行った?不思議怪奇と世を騒がせて 困るは人か妖しか。平和をこよなく愛するは 果たして人か妖しか。LEDに照らされた平成の世も東京も 江戸とは地続き時続き。猟奇怪奇が日常ならば 生息するは何者か。笑みを浮かべている友は 果たして人か妖しか。・・・ってなわけで、現代にも生きてるような気がする彼らの物語の続編を乞う!私なのでありましたw
2014/10/29
ハイランド
時代ものを描く上でやっちゃいけないのが、調べた知識をそのまま並べること。この作品はそれが悪い形で出ている。描くのは知識ではなく空気。この人の描く江戸はあんなにいいのにねえ。大体銀座の牛鍋屋で毎日夕食を食べる庶民はそうそういないよね。人間と妖怪が渾然としているという設定も生かされていない。もう一つ残念なのは、人死にが軽く描かれていること。好きな作家だけに「惜しい」の一作。
2014/03/24
紫 綺
江戸が明治に化けて20年。銀座の煉瓦街には不似合いな、掘っ立て小屋のような派出所と牛鍋屋「百木屋」が舞台の妖(あやかし)連作短編。「百木屋」の常連たちが妖しく痛快に活躍する。牛鍋、食べたい♪
2014/04/04
ちはや@灯れ松明の火
おにさんこちら、てのなるほうへ。アーク灯の眩さが宵闇を剥ぎ取る煉瓦街、棲処を追われた人ならぬ者は何処へと潜むのか。いついつ、でやる。西洋の風に誘われ開いた文明の花、江戸と地続き時続きの明治に落とす影、和洋折衷の銀座を闊歩するのは神か妖か。あのこが、ほしい。水面に佇む女は、風の刃を振るう男は、人の胸の裡を覚る者は、何処かで見知った貌をして。あのこじゃ、わからん。金や宝石に惑うのは、息と共に嘘を吐くのは、人を殺めるのは、魑魅魍魎の類ではなく。人妖折衷モダンの街に涙の雨が降り注ぐ。うしろのしょうめん、だぁれ?
2013/10/16
kishikan
しゃばけシリーズは江戸時代だったけど、畠中さんの新作は明治の東京銀座を舞台にした話。それも明治初期の話じゃなく、煉瓦街が並び鉄道馬車が走る明治20年代の物語です。もちろん、銀座はガス灯から「まるで昼のようだ」と言わしめたアーク灯に変わり、闇夜に潜む妖とは無縁の近代社会と思いきや、そこはさすが畠中さん。文明開化の時代に、こっそりと生き延びさせていましたね。物語はそれぞれ完結するけど連作5話。巡査や牛鍋屋の主人など、時代に合わせた登場人物も嬉しい。少しずつ妖が姿を現しているので、これもシリーズものになる予感。
2013/11/23
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