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クラウドガール

クラウドガール

クラウドガール

作家
金原ひとみ
出版社
朝日新聞出版
発売日
2017-01-06
ISBN
9784022514448
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クラウドガール / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

初出は2016年の朝日新聞への連載。新聞小説を思わせるのは、姉妹が交互に語るスパンの短さと、金原ひとみにしては性的な表現が極力控えられていることくらいか。端正な姉の理有と奔放な美少女の杏。やや極端な造型だが違和感はないし、それぞれの語りも上手い。彼女たちを含む周囲との関係性と都会の環境は今日的。ただ、姉妹と両親との親子のあり方はいたって特異である。そして、そのことが彼女らを形作る。アイデンティティを構築しようとする理有。そんなものは最初から眼中にない杏。そうした葛藤に読者もまた巻き込まれていく。⇒

2022/06/06

starbro

金原ひとみは、新作中心に読んでいる作家です。芥川賞W受賞以来の金原ひとみと綿矢りさの共演。まずは金原ひとみからです。母親の死からバランスを崩していく姉妹、現代の女子高生、女子大生の生態を反映しているのか解りませんが、ある意味狂気の世界です。私も姉妹に挟まれ、妻も三姉妹なので、姉妹の関係はある程度理解していますが、所詮有名作家や有名女優の我が儘な子供達の話にすぎなかったような気がします。美人女子高生でも、スマホで殴り掛かってくる女はやだなぁ。気を取り直して、次は綿矢りさの「私をくいとめて」に行きます!

2017/01/25

🐾Yoko Omoto🐾

誰かと何かを共感し合うことを厭い、常に絶望感を抱いていた母と、その姿にそれぞれ異なる母親像を見てきた姉妹。面白味のない真っ当なだけが取り柄の合理主義と自己を評する姉、独特な思考回路を持ち、瞬間の感情に生きる奔放な妹。母親に起因する確執や嫉妬、歪に崩れかけた精神の均衡、呪縛と孤独。今の自分から脱したいともがく姿が、痛々しく息苦しい。誰とも溶け合えない孤立感を抱え、でも誰かと溶け合いたいと渇望する思い。姉妹の関係性よりも、精神的孤独の切なさが心に残った。ラストはやや無難に纏めすぎた感があるが面白かった。

2017/03/07

ケンイチミズバ

幼い姉妹の目に焼き付いた母親の死が自殺だったのか病死だったのか曖昧なままなのは仕方のないことだが、姉妹で食い違う記憶が謎のまま。トラウマが影響して成長した理有と杏は二人とも個性が強く危うい。やんちゃな男子、誠実な青年、大人の男が登場するが男性は彼女たちを支えきれないだろう。姉の心の支えは他界した父親だし、妹の心の支えはそんな危うい姉だ。何より真っ先にカウンセリングに行くべきだな。倒錯やPTSDの世界が実に面白くなかった。子供心に怖いと思わせる造形のぬいぐるみに一番気が引かれた。実在するなら欲しいかな。

2017/02/13

zero1

何が本当で何が嘘か?16歳の杏は飲酒や夜遊びなど、やりたい放題。冒頭で彼氏の浮気発覚、暴れる。姉の理有は20歳の大学生でしっかり者。留学先のマレーシアから帰ってきた。離婚後に急死した作家の母親。この母親の死が大きな意味を持つ。もうひとつ、父性の不在も大きい。20歳で「蛇にピアス」で芥川賞作家となった金原。娘とフランスで生活しているが、杏は作者の分身ではないかと考えつつ読んだ。金原には小説という表現の場があったが、もし無ければ、杏のようになっていた?終盤に明かされる事実は読めなかった。

2019/02/16

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