終わりと始まり 2.0
終わりと始まり 2.0 / 感想・レビュー
chantal(シャンタール)
東日本大震災以降から2017年くらいまでのエッセイ。エッセイと言うより夏樹さんの怒りとでも言おうか。日本政府、特に時の安倍政権への怒りが凄まじい。シリアやイラクなど難民問題もあり、世界中で本当に大変な事が次々と起こっている。民主主義と資本主義は違うものだ。現在の日本は民主主義の国と言えるのだろうか?肥え太るのは大企業ばかり。貧富の差は広がるばかり。読めば読むほど泣きたくなる。「終わりと始まり」とはヴィスワヴァ・シンボルスカさんの詩の題名。1.0もあるのでそちらも探そう。
2021/10/26
あやの
2013年から2017年までの朝日新聞 連載コラム。私は何をしていたか。育休→仕事復帰の期間だから、目の前のことに必死だった日々(今もだけど)。その時、世の中にはこんなにも考えるべきことが溢れていたなんて!安倍・トランプ政権批判、ヨーロッパ・中東情勢、日本や世界の文化の考察、震災について、自然について……もっと平和な社会にするにはどうすればよいかを、多角的に考察する筆者のスタンスに感心した。奇しくも今、イランとアメリカの情勢が緊迫している。池澤さんならどう語るだろう。
2020/01/08
ケディーボーイ
久しぶりの池澤夏樹のエッセイ。静かだが確かな怒りが伝わってくる。2010年代ひどいことがたくさんあった事を再認識。
2022/07/31
おさむ
池澤夏樹さんの朝日新聞夕刊の連載をまとめたもの。やはり新聞のコラムは、その時々の旬のネタを紙面で読むから面白いのだと思う。こんな形でまとめると、どうしても似たようなネタがあったり、使い回しのフレーズがあったりする。また、細かい話題だと何だっけ?と首を傾げてしまう。それだけ時代のスピードが早まっているのかもしれない。最も印象に残ったのは、こんな文章。「昔の日本では大人が果たすべき責務が2つあった。家族を養うかせぎと世間様へのつとめ。それが今はかせぎばかり」世間は社会につながっている事を忘れてしまっている。
2020/04/08
踊る猫
改めて読み返すとこの本の中で池澤夏樹は実に巧みにこちらを挑発する。いや、もちろん下品にこちらを煽ったりそそのかしたりするのではないが、それでいて彼の意見は「御高説」に留まるものではなくこちらにもヴィヴィッドに「おかしいと思わないか」と問いかけてくる、「活きた」ものであることが印象的に感じられた。初読の時に感じた何でも安倍政権やトランプ政権をディスる方向性に抱いたかすかな違和感/疑問は変わらない。でも、池澤夏樹は独善に閉じこもりワンパターンな意見を押し付ける論者ではないことが確認され、それが清々しく思われる
2022/09/16
感想・レビューをもっと見る