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国宝 (下) 花道篇

国宝 (下) 花道篇

国宝 (下) 花道篇

作家
吉田修一
出版社
朝日新聞出版
発売日
2018-09-07
ISBN
9784022515667
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国宝 (下) 花道篇 / 感想・レビュー

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starbro

上下巻、700P強完読しました。歌舞伎、梨園の世界には疎いですが、人間国宝まで昇華した日本一の女形の波乱万丈の粋な一代記、堪能しました。主人公のモデルは、五代目 坂東玉三郎でしょうか?雪の新年会のシーンから始まって、映像化を意識した文章となっているので、映画化を期待しています。本書は、本年のBEST20候補作です。

2018/09/26

鉄之助

主人公・喜久雄のライバル、俊介が糖尿病からくる脚の壊疽で両脚を切断するあたりから、怒涛の展開! 両足を失ってでも舞台に上がる執念を見せる。喜久雄は「完璧を超えた完璧の芸」で観客を魅了。歌舞伎の演目の描写が、実に丁寧なため、読んでいながら、こちらも劇場で一緒に舞台を見ているような錯覚に何度も襲われた。少年時代から「必死に歌舞伎に食らいつき、今やその歌舞伎に取り憑かれてしまった」人々のドラマを十二分に堪能できた。 → 続く

2019/03/06

パトラッシュ

(上巻から続く)しかし悪魔との契約には自分が幸福になるとの文言はなかった。親や子や孫、親友や女たちまでにも不幸を招き、自らの芸も望み通り至高の域に達して芸を極めたが故に周囲から敬遠され壮絶な孤独に陥る「極道小説」でもある。単純な芸術家としての成長話や成功譚ではなく、芸の厳しさと苦闘に生涯を捧げた喜久雄という不世出の俳優の生涯を、読者は歌舞伎座の大舞台で息をのんで観劇する経験を味わう。それを支えるのが上方歌舞伎の義太夫節を生かした語り口であり、この文体を発見した時点で本作の立ち位置は確立したといえるだろう。

2019/10/29

ウッディ

同じ歌舞伎の道を歩み始めた喜久雄と俊介は、互いの芸を極め、再び同じ舞台に立つ。反目しあうライバルという役割を果たしながらも、お互いを認め合い、親友として見つめる視線は温かい。志半ばで倒れた俊介の想いも背負い、喜久雄は見たこともない高みに立てたのか?全く興味のなかった歌舞伎という世界をモチーフにした上下巻700頁の物語を読ませる吉田修一さんの筆力がすごい。夫を支える梨園の妻たちの物語も読み応えがあり、機会があれば、歌舞伎を見に行ってみたいと思わせる程度には、面白かったです。

2019/04/21

yoshida

圧倒的な面白さ。読了してもラストを繰返し読んでしまう。味わいながら、慈しむように読み進む。極道の子として生まれた子が、歌舞伎で誰も到達したことのない境地に至る。歌舞伎が好きで、上手くなる為に魂を悪魔に売り渡したとしても、たとえ芸が際まっても、彼は飽くなき地平を求める。彼を取り巻く状況や時代の荒波、襲いかかる周囲の人々への不幸。比例するように輝く彼の歌舞伎の眩さ。圧倒的に読ませる作品。吉田修一さんの新境地であると共に、現時点での代表作だろう。内容についてこれ以上は書けない。多くの方に読まれて欲しい作品です。

2019/03/21

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