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化物蠟燭

化物蠟燭

化物蠟燭

作家
木内昇
出版社
朝日新聞出版
発売日
2019-07-05
ISBN
9784022516138
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化物蠟燭 / 感想・レビュー

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yoshida

木内昇さんが怪異を描く短編集。江戸時代の市井の人々の生活に、ふと現れる怪異。妖しもあれば、底知れぬ人間の悪意もあり読ませます。「お柄杓」での輪廻転生の縁。「幼馴染み」でのお咲の恐ろしさと、お滝の炯眼。「化物蝋燭」での親が子を思う想い。何かを受け継ぐことの意味合い。「むらさき」の美しさと、その哀しい理由。「夜番」での兄妹愛。そして乙次とお冴の小気味良さ。木内昇さんの筆力で、単なる怪異譚ではなく深い味わいがある。宮部みゆきさんの時代物を少し落ち着かせた雰囲気かな。珠玉の短編集です。木内昇さんの作品は外れなし。

2019/08/10

いつでも母さん

木内さんが紡ぐタイトル作を含む短編7話の怪しと妖し・・どれも良い。会いたい人に会えぬ苦しみはこの世の者だけではないのだなぁ。西方浄土の彼方で「その手の中にあったものを気付いているかな」いいさ又、会える時まで話は積もるばかりだね・・好みは『蛼橋』『お柄杓』『夜番』だが『幼馴染み』ではお咲に女の凄さをみたが、哀しいほど怖ろしかった。やっぱり生きてる人間が一番恐い。

2019/07/27

つーこ

上質の、いや、至極の短編集に出会いました。もう終わってしまうのか・・と一話一話、読み終えるたびに後ろ髪引かれた。今の世では考えられない漆黒の夜、揺れ動く蝋燭の炎、障子に映る影。そういう危い時代だからこそ、現世と冥界が今よりももっと曖昧で身近だったのだろう。そして、人と人が今よりももっと暖かく繋がっていた時代だったのだろう。装丁も完璧!購入して何度も読みたい。そして、大切な誰かにもプレゼントしたい。

2019/11/28

モルク

江戸の市井を舞台とした人ならぬもの、この世に未練を残した者、或は心に潜む邪悪な念を描いた7つのホラー短編集。妖しの気配を漂わせこの世とあの世を行き交う。生者と死者の距離が近くどこかで死者をも受け入れる。そんな作品が多い中で「幼馴染み」だけは異質。小さい頃から楯になって庇い何かと面倒を見てきた幼馴染み。後に、しかも幸せの絶頂のはずの時に思い知らされる幼馴染みの本性。もっと早く気づいていれば…いやとっくに疑っていたはず、何かおかしいと…生きている者の方が恐ろしい。いやな汗が流れ不快な気分になるが印象が残る作品

2020/06/29

KAZOO

木内さんの最新の作品集です。7つの時代物短編が収められていてどの作品も楽しめました。ほろりとさせてくれるもの、あるいは怪談めいたもの、人間の無意識の怖さなどをうまく描いていて木内さんの世界にはまり込みました。宮部さんの三島屋シリーズを読んでいるので似たような雰囲気のあるものもありました。今後もこのような分野を書き続けてくれると楽しみが増えます。

2019/09/06

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