星と龍
星と龍 / 感想・レビュー
鉄之助
巻末の安部龍太郎の解説にグッときてしまった。2017年に亡くなった葉室麟への、2年がかりで熟成された”弔辞”を読むようだった。葉室の未完となった遺作は、南北朝が舞台。これまでにない楠木正成が活写されていた。作家デビュー12年で逝去した葉室の才能が惜しまれる。
2022/03/30
starbro
故葉室 麟は、新作をコンスタントに読んでいた作家です。これまで遺作的な作品を何作か読みましたが、未完絶筆の本作こそ、正真正銘の遺作・最後の長編のようです。著者の新作がもう読めないかと思うと大変残念です。作家 安部龍太郎氏による、詳細な解説もGOODでした。
2019/12/12
とん大西
南北朝はどちらかといえば苦手な方です。ただ、昔から好印象を持っていた楠木正成という上品な暴れん坊で武骨な策士の生涯をキッチリ読んでみようと、ましてや、葉室さんの絶筆となった作品ならばと…。帯にも謳ってるように、もちろん未完。しかもいい場面で(苦笑)。もし完成していたら600頁ぐらいの大長編になっていじゃあないでしょか。隆慶一郎さんの『花と火の帝』のように未完には未完だからこその味わいがあります。正成には非業の死が待ち受けていますが、彼の正義は如何に全うされたのでしょう…。そんな趣も琴線に触れるところ。
2020/03/01
Tadashi Tanohata
葉室麟の絶筆だ。何も足さない何も引かない、まさに絶筆だ。だから、「龍」は楠木正成だと文中で察しはつくが、「星」は明かされていない。歴史を鑑みれば想像はつくが、私は限定しない。我が郷土の誉れ楠木正成が、私のランニングコースを縦横無尽に駆け回る。時空を越えたシンクロに震えが止まらない。
2019/11/23
紫陽花
楠木正成が主人公となります。赤松円心などと計らい鎌倉幕府と敵対し、後醍醐天皇による建武の新政を実現させます。護良親王、足利尊氏、高師直、新田義貞。このころのスターが揃ったと思いきや「未完」との文字で話が終わってしまいました…。この作品は葉村さんの絶筆だったのですね。これ以降のところで楠木正成が大活躍し、非業の死を遂げるので、その直前で話が終わってしまうのは残念でした。
2021/09/16
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