スター
スター / 感想・レビュー
starbro
朝井 リョウは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者の作家生活十周年記念作品[白版]として期待して読みました。タイトルと表紙から撮られる側の物語かと思いきや、撮る側の物語でした。途中までは著者の10年間の集大成、最高傑作だと思っていたのですが、最後の唐突な終わり方は何なのでしょうか?来春予定の[黒版]に続く等、続編があるからでしょうか?「神は細部に宿る」 https://publications.asahi.com/star/
2020/10/30
いつでも母さん
「答えのないことを考えていられる時間って、本当に贅沢なんだよ」これは浅沼が悩んでる尚吾に言った言葉。あぁ、私もそんな言葉を掛けられる先輩でありたかったなぁ。なんて思いつつ、キラッと光りドキッとする言葉たちが沢山あった朝井さんの10周年記念作品「白版」。悪人は出て来ない。ざっくり映像関係の話と言えばそれまでだが今、誰もが発信者となり得る時代をとても深く切り込んでいると感じた。多様化する現代社会の中で芽生えていく『ズレ』これからもきっと増えるに違いないなぁと、おいて行かれる私はもはや諦めつつ苦笑い。
2020/10/29
みっちゃん
本物って何だろう。いつまでも人々の記憶に色褪せず残るものをつくりたい。価値観が多様化し、求められるものがどんどん細分化していく今の世で考え、迷いもがく若者たち。でも、結局は自分の心に嘘をつかず、人生の分岐点がくる度に選びとっていくしかないんだよね。
2020/11/30
mint☆
大学生の時、映画祭でグランプリを受賞した尚吾と絋。卒業後、尚吾は有名監督に弟子入りし絋はYouTuberになった。読み始めは質にこだわるか数をこなすか、どっちが正しいのか、というような対決の話かと思ったがそうではない。現代の価値観の多様性。自分のいる側こそ正しいと思いがちだけれど「誰かにとっての質と価値は、もうその人以外には判断できない」と言う尚吾の恋人の千紗。確かにその通りだ。悩み揺らぐ心の描写が素晴らしい。とても好きな作品。
2021/01/02
NADIA
朝井リョウだ!「神は細部に宿る」と細かいところまで妥協を許さない正吾。画像に対するセンスが際立つ紘。映画監督志望の二人は大学卒業時に「どっちが先に有名監督になるか勝負だ」とそれぞれの道を歩き始める。その後の二人は挫折や苦悩、葛藤の連続で正直読むのがしんどかった。が、もはやお約束といった感がある終盤の急展開。映画製作についてだけでなく、あらゆることの凝り固まった決めつけを解きほぐされた気がする。今更といえば今更かもしれないが、正解は一つじゃない。時代とともに価値観も変わる。まさしく朝井リョウクオリティ。
2021/05/24
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