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朔が満ちる

朔が満ちる

朔が満ちる

作家
窪美澄
出版社
朝日新聞出版
発売日
2021-07-07
ISBN
9784022517678
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朔が満ちる / 感想・レビュー

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starbro

窪 美澄は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。冒頭の父親殺しの悪夢から引き込まれ、一気読みしました。本書は、地方因習DVサバイブ家族物語の感涙作でした。最期に朔が満ちて良かったと思います。 https://note.com/asahi_books/n/nbcb85a42da67

2021/08/06

パトラッシュ

赤地に斧が描かれた表紙の通り、DVの父親を斧で半殺しにした史也。生後すぐ死んでも仕方ない姿で遺棄された梓。今は普通の生活を営む2人が偶然出会い、訣別したはずの過去と対峙すべく故郷を訪れる。否応なく傷口は破れ、忘れかけていた親への憎しみと痛みを味わう場面は苦しく辛い。いわば戦争で心を病んでPTSDを発症した兵士が、再び戦場へ戻り銃を手にする物語なのだ。史也も梓も敵を殺すことなく、自分と同じ傷を抱えた相手に支えられて生に帰還できた。今も同じ境遇にいる多くの子供にサバイブしてほしいという願いを語っているようだ。

2021/08/15

ウッディ

13歳の時、酒を飲んで家族に暴力を振るう父を斧で殺そうとした史也と寒い夜に捨てられ、児童施設で育った梓。親の虐待からサバイブした二人は東京で出会う。過去から目をそらし生きてきた二人は、親への憎しみの感情と決着をつけるため、生まれ故郷に向かう。幸せな家で育った人をあちら側の人として自分たちと区別してしまう主人公の想いが切なく、自分たちが子供を持っても良いのかと悩む二人の心を思うと苦しかった。そんな二人が出会えたことで、悲しみの連鎖は断ち切られたと信じられるような、希望あるラストがさわやかだった。

2021/11/05

美紀ちゃん

いい話だった。泣いた。父親の虐待、家庭内暴力。辛い。誰にも話したくない苦しくてずっと抱えていた話を、受け止めてもらえて、とても救われた。葬式の後、妹との昔のあの時の答え合わせのような会話の時に涙が出た。最低最悪な子供時代が、大人になってから、やっと終わった瞬間だと思う。薪割のサクッと2つに割れた時に、憎しみとか、憎悪とか殺意とか、そういうモヤモヤの霧が晴れた瞬間なのかも。ラストは、女性3人で写真を撮るあたりからラストまで、ずっと涙が止まらなかった。涙涙。幸せになれるはず。

2021/08/06

いつでも母さん

家庭内暴力…弱い者にしか手を上げられない弱い男。されるがまま子供を夫の暴力から守ることが出来ない母と言う女。13歳の時、母と妹を守るため父を殺そうとした史也。生まれて間もなく母親に遺棄された過去を持つ梓。2人が出会い、互いの過去に向き合い、寄り添いながら生きていくと言う再生の物語。体の傷は治ると言うが跡は残るのだ。心の傷なら尚更深いだろう。それぞれの悲しみと苦しみをこの作品を読むだけで知った風に語る自分が情けないが、多くの史也や梓の明日に幸あれ!

2021/08/05

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