生皮 あるセクシャルハラスメントの光景
生皮 あるセクシャルハラスメントの光景 / 感想・レビュー
starbro
井上 荒野は、新作中心に読んでいる作家です。最近のセクハラを生皮を剝ぐようなヒリヒリとした感覚で描いた作品かと思いきや、昭和にありがちだった性暴力の物語でした。タイトルと内容にギャップがある気がします。 https://book.asahi.com/article/14609913
2022/05/12
のぶ
セクハラが起こる過程と原因が生々しく描かれていて、興味深かった。セクハラを行ったのは小説講座の人気講師、月島光一。過去に教え子に芥川賞作家を誕生させ評判は高かった。一方、動物病院の看護師の九重咲歩は、文章を書くことが好きで月島から才能を認められていた。しかし月島による咲歩への執着はエスカレートし、肉体関係を迫るほどにまで進んでいく。他にも月島から関係を迫られた女性はいて、人間的に問題を感じた。咲歩は性被害を告発する事になるが、咲歩の言動にも疑問を持った。これが現在のセクハラ問題の氷山の一角なのだろうが。
2022/04/21
うっちー
セクハラにも様々な状況、気持ちがあるのだと再認識しました
2022/08/25
TakaUP48
小説講座の人気講師が性暴力で告発された。お気に入りの受講生に目をつけると名前で呼び、2次会では隣の席が指定席。個人的な呼出と、小説を書く心構えを説く。「小説を教えることには限界がある。でも俺たちはその限界を突破したいよね」「お前がもっといい小説を書くために、俺はお前と…」言葉巧みに心の襞に刺さりこみ、宗教的な儀式のようにベットに雪崩れ込む。たとえ体で抵抗しなくても、心が望まぬ行為はレイプだ。彼は私の生皮を剥いだ。被害に遭った彼女らの心の動きや、周りの人々の動きが詳細に描かれている。タイトルが衝撃的過ぎる!
2022/06/20
マカロニ マカロン
個人の感想です:A。副題の通りの物語で、最初主人公かなと思っていた動物病院勤務の女性によるカルチャーセンター小説講座の講師によるセクハラ(レイプ)に端を発して、#MeToo運動のように告発の連鎖が起きていく。「彼がしたことは、私の皮を剥ぐことでした」という言葉は重い。これまでの男性優位の社会では様々な本作のようなケースがあっただろうし、時には仲間内の女性達が加担するようなことがあったかも知れない。「相手が望まない行為はハラスメント」という原則を「生皮」と端的に表現し、読みながら剥がされる痛みを味わった
2023/01/11
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