つげ義春 流れ雲旅
つげ義春 流れ雲旅 / 感想・レビュー
ホークス
2023年刊。1969〜75年の紀行文。写真と絵が多く、無愛想な文章。描かれる場所も情景も侘びしく、つげ義春の世界に浸れる。つげ在住の調布の図書館で借りたけど、いつか買いたい。「ここではないどこか」を求める旅だと思えて勝手に共感した。常識や普通に対して緊張し、強ばった心身が緩む。60才を過ぎてなお、と自嘲する。白黒写真のほっかむりした人物の黒くつぶれた顔が怖いのに懐かしい。不可解なままで構わないだろう、と諭されたよう。「旅人が土着の生活を解するなど愚かな幻想」の言葉は、冷淡ではなく尊重だと思える。
2024/05/26
阿部義彦
つげさんが、69年から71年にかけてアサヒグラフに発表した、旅行記(後に文章を大崎紀夫、写真を北井一夫の三人体制になる)が久方ぶりに復刊されました。東北地方のルポは過去に読んだ記憶が有りましたが、今回は北は青森南は九州までの完全版です。ねじ式は68年に発表はされましたが、文中には言及が有りません、まだ評価が定まってない頃だったのかも?このルポは「リアリズムの宿」を思い出させます。『サンビスしますから』いい台詞ですね。73年実施の放談会には結婚したばかりの奥さまも参加。今回の22年の鼎談には息子さんの姿も。
2023/02/04
Satoshi
表紙をみて思わず購入した。つげ義春って日本芸術院の会員にまでなられたのですね。東北の温泉には湯治の老人がおり、遍路道には盲目の僧侶が琵琶を弾いている。リゾートとは程遠い昭和の原風景。暇なときにパラパラ見たい。
2023/01/24
そうぺい
初読。ウ~ン高いなぁ笑。つげ義春と題打つも、つげ先生の文章は1章のみ笑。レビュー等を参考に3ヶ月買うのを悩んだが…満足度は…。でも…つげ義春と有れば欲しくなるでしょ?笑。イラストや写真は多め。 ただ、申し訳ないけど他の2人は全く知らないですし、紀行文を担当されている方の文に到っては妙に鼻につく…経歴…東大仏文科…なるほど!笑笑〜哲学臭が懐かしくもありて。 紀行文はどこまでも自分の視点が重要で、その意味においては日記に近いのだけれど、旅そのものが何か得体の知れないものを孕んでいる分、好きなのかも知れない。
2023/06/25
hitotak
つげ氏が絵、北井氏が写真、大崎氏が文章を書いた1970年頃の日本各地の旅行記。当時はちょうど大阪万博も開催され、高度経済成長の只中にあったはずだが、旅先は東北から九州までの地方の漁村、湯治場、お遍路道などのうらぶれた場所ばかり。現在はすっかり廃れただろう昔ながらの暮らしぶりや風習もルポされており、民俗学としても貴重な記録だと感じた。つげ氏のイラストも、詳細なタッチの背景、味のある人物たちが個性的な構図を用いて描かれ、今ではもう見ることができない各地の寒村の様子がよく伝わってくる。
2023/05/04
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