また会う日まで
また会う日まで / 感想・レビュー
starbro
池澤 夏樹は、新作中心に読んでいる作家です。大日本帝国軍人に関しては悪いイメージしかありませんが、敬虔なクリスチャンにて天文学者、これほどまで清々しい軍人を知りませんでした。非常に難しい時代を生きた傑物を見ました。本書は、今年の最長編にてBEST20候補です。 https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=24081
2023/04/06
KAZOO
この作品は朝日新聞に1年半にわたり連載されたものですが読まないでこの本になって読みました。池澤さんの大伯父さんを主人公にしてその人物が大正・昭和の時代を生き抜いてきたことを読ませてくれました。海軍軍人で天文学者、さらにはキリスト教徒(この本の題名は讃美歌からきています)であった主人公が海軍兵学校、海軍大学校、東京大学などで学び、どちらかというと軍人よりも学究的な人物であったと感じます。作者の父親の福永武彦や日野原重明先生等も登場します。子供や妹あるいは連れ合いが亡くなったりしますがそういう時代だったのです
2023/05/24
kawa
海軍軍人、キリスト教者、天文学者と異なる側面を併せ持つ秋吉利雄氏を主人公に描く長尺歴史ドラマ。秋吉氏は著者の大伯父で実在の人物の由。主人公の兵学校仲間として架空のM氏を据え、著者がインタビューで述べた(今の)「政府はウソをつくし、文書を焼くし、メディアはあおるし。大衆はころころ(意見が)変わる。戦争中と同じことをしているなと思いますよ」を上手く連想させ考えさせられる。読みどころ多し。
2023/04/12
どぶねずみ
(朝日新聞連載中に毎日欠かさず読んでいたので、連載終了日22年1月31日を読了とする)著者の大伯父にあたる秋吉利雄さんの生涯について。私が全く存じ上げない方だったが、本書によるとエリート教育の海軍兵学校より海軍軍人となり、その後天文学者として世に憚り、ローソップ島で皆既日食を記録するという功績が天皇陛下の目に留まったようだ。最期は戦死した友のことを思って亡くなっていく。戦争の生々しい内容ではあるが、身内から小説化されて残されていくことがとても素晴らしい。
2022/01/31
ケイトKATE
池澤夏樹の大伯父にあたる海軍軍人、天文学者、キリスト教徒であった秋吉利雄の生涯を書いた長編小説。700ページを超える大作でありながら、文章の行が短いのでスラスラ読めた。物語は、秋吉利雄が自分の生涯を回想する形で進むのだが、淡々として利雄自身の人物像も、利雄に関わる人々も、当時の時代背景に関する文章も物足りないものがあった。印象に残ったのは、利雄が聖路加病院で100歳を超えても現役医師として活躍した日野原重明と知り合いだったことぐらいである。
2024/09/15
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