八犬伝 上
八犬伝 上 / 感想・レビュー
里季
再読。どうしてもまた読みたくなり、読友さんを通じて探して頂いた本。滝沢馬琴が、葛飾北斎に「八犬伝」の物語の筋を語って聞かせる、という趣向。物語の部分を「虚の世界」、北斎とのやり取りを「実の世界」として交互に進んでいく。「八犬伝」そのものの面白さは言うまでもないが、「実の世界」がとてもいい。馬琴も北斎もその才能ゆえに家族や暮らしに対しては普通でない所が多かったが、両者とも本当は家族を愛していたのである。馬琴が迎え火を焚きながら両親に思いを馳せ、わが子をきっと武士の世界に返すことを誓う所で思わず涙。下巻へ。
2014/01/27
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