ブッダの夢: 河合隼雄と中沢新一の対話
ブッダの夢: 河合隼雄と中沢新一の対話 / 感想・レビュー
呼戯人
心理療法家河合隼雄と宗教人類学者中沢新一との対話。河合隼雄が亡くなってからもう十年近くが経とうとしているが、彼から学ぶことの多さ深さに変わりがない。当初、チベット仏教とポスト構造主義を混交したニューアカデミズムの旗手だった中沢新一も60歳を超えた。日本の思想界を引っ張ってきた二人のかつての対談を読むと本当に学ぶことが多い。定常系の世界に突入しつつある現在、グローバリズムや新自由主義が滅びつつあり、私たちは河合や中沢から改めて次の時代の思想を勝ち取るヒントを与えられている。
2016/04/09
ほじゅどー
★★★★二人の対談は難解につき要再読。河合隼雄曰く、カウンセリングに仏教が役立つ。湯川秀樹は夢の中で中間子を発見。華厳経。明恵の「夢記」。中沢新一がキリスト教から仏教に転向したのは構造主義。キリスト教の自力思想と浄土真宗の他力思想の中間点探し。鈴木大拙「日本的霊性」は要読。宮沢賢治、西田幾太郎。箱庭療法と芸術、俳句。アメリカ・インディアンのグレート・スピリットは神話の核。悪の倫理。善悪を三枚におろす。真ん中は魂。仏教は二でなく三。ファシズムは二の思考。生命の目標は幸福。東洋思想は快不快の原理が原点。
2015/01/27
おおにし
河合隼雄先生の箱庭療法についての写真付き解説は一読の価値あり。抑うつ症の患者が箱庭を作って自分の心と対話を重ねるうちに、自分自身の神話が形成されて抑うつ状態が治癒していくプロセスがとても興味深い。心にも自己治癒力があるようだ。しかし、この療法は河合先生のような優れた治療者のスキルが必要なのだと思う。
2013/04/06
Yoshihiro Yamamoto
A- 「仏教が好き!」がすばらしい知見に富んでいたので、それより数年前に行われた二人の対談集を読んだ。これもとても示唆に富み、読むべき本の紹介などもあり、嬉しい本であったが、6章ある中で河合先生の「箱庭療法の宗教性」「汎神論的夢理論のこね方」については、いまひとつだったことが唯一のマイナス点か。「十牛図」「中観」「有理数と無理数」「人間が心を溶かしていくためには死の目が必要」「東洋宗教は神という普遍がないので死霊の目が意識されている」「銀河鉄道の夜の父性」等が記憶に残る。こちらを先に読めばよかったと思う。
2015/10/14
侘び寂び侘助
この2人の対話は、対話ならでは広がりから一つの着地点に収斂しており、このように対話できるのは羨ましい。精神世界と仏教の世界はリンクしていると思いし現代の人々に足りない何かを2人が話しているような気がする。
2020/10/24
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