暴力に逆らって書く 大江健三郎往復書簡
暴力に逆らって書く 大江健三郎往復書簡 / 感想・レビュー
そうげん(sougen)
『宙返り』刊行前後の世界の潮流を含み込んだ文学者の実感が往復書簡のなかに語られる。ギュンター・グラスとのやり取りでは、大戦を経た後に日本と独逸の国内のなにが変化し、どのような傾向が温存されてきたかも示される。かつてヨーロッパ啓蒙主義の始まりから多大な恩恵を齎したフランス文学、モンテーニュやディドロ、ゾロのような姿勢を――つまり洗練されたエッセーともいえる、風刺やテーゼとしての文言の形式を、いまを生きる人のうち、いったいどれほどの人数がその内容に耳を傾けるものだろうかとのメッセージも綴られる。
2018/06/29
いのふみ
どの作家・学者も社会を憂い、コミットしている。現状を、真摯さ、謹直さ、時にはユーモアをもって乗り越えようとしているのが見える。
2014/11/28
takao
ふむ
2024/10/17
tu
20,000人以上のドイツ国防軍脱走兵が処刑された(21頁) 私達は精神の限界によって限定されるだけでなく、自分の観点や時代、ニーチェのいうそれぞれの解釈によって限定されている。過去や他者を理解しようとする努力はすべて実体ではなく、近似のものに止まる定め(283頁)
2018/11/03
v&b
グラスとの対談だけ読んだ。”(カルト集団の)インプロージョン(NOT エクスプロージョン)”というフレーズが印象に残った。要再読かも。
2013/02/15
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