静かな大地
静かな大地 / 感想・レビュー
さつき
病み衰えた父が娘に伝えたかった来し方、理想に燃え新知識を吸収しようと勉学に励んだ兄からの書簡、沢山の子供達が集う炉端で語る英雄譚…様々な語りから浮かび上がってくるのは北の大地で懸命に生きた人々の姿。厳しい環境の中でたゆまぬ努力を続け、子を育み、またその子に自らの技を受け継がせていく。その営みはずっと続くものと思いたかった。でも、そう信じられなくなる時、人はどうしたら良いんだろう?信念を曲げても生きていくべきか?人生の意味とは?
2021/12/10
ちょん
負の歴史を心に刻み込めた一冊となった。アイヌの前に立ちはだかる大きな壁。ただの壁でなく、差別と蔑みに塗り込められた壁だった。和人である三郎がアイヌ側に立って働いた事績は大きな権力によって無きものとされた。土人と和人。知らなかった歴史。アイヌの事をもっと知りたくなった。知らねばならないと思った。
2015/01/07
片瀬
北海道が舞台の小説ということで。読むというより学ぶという感覚で読みました。10年の構想、30冊以上の参考文献をもとに、アイヌ文化や開拓当初の歴史が描かれています。明治維新に伴い、北海道の静内に移り住んできた淡路衆。中心人物・宗形三郎は、入植後アイヌと親睦を深め、札幌官園での経歴やアイヌの知恵を活かして遠別で牧場を経営します。アイヌと共に豊かな作物と駿馬を育て、栄える遠別。そして、衰退…。決して差別や略奪はあってはならない、そう胸に刻みつけられた一冊。
2014/10/10
のし
倭人の都合で多くの悲しみを生んでしまったと思います。 この歴史を憶えておかないとと感じました。
2024/07/15
筍皇子
ほぼ実話として読んだ。 いろいろ考えて考えがまとまらず、かといって何かコメントを書かずにいられずここに記録する。とても重い作品です。でも、日本人必読の一冊だと思う。 政治というものは本当に難しい。今も昔も。時代の流れに沿いつつ国民をリードしなければいけない。全員の幸福につながらず、金の亡者たちに付け込まれる隙もあるだろう。理不尽、かわいそう。自殺してしまったが、三郎もかわいそう。各章視点が変わるのでいろいろな立場から考察できる。暗い気持ちになりいろいろ考えさせてもらった。名著。
2012/08/27
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