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新・地底旅行

新・地底旅行

新・地底旅行

作家
奥泉光
出版社
朝日新聞社
発売日
2004-01-17
ISBN
9784022578921
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新・地底旅行 / 感想・レビュー

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草食系

行きがかり上、あれよあれよという間に富士の地底探検隊の一員となった主人公。メンバーはそれぞれ思惑があり、個性豊かな面々。危機の時でも学術的見地を忘れない「鶏月」、わからないことをわかっているように解説して混乱を生む「丙三郎」、現実的で身体能力の高い安定の「サト」、臆病でお人よしな平均的日本人「野々村」。ハリウッド映画だと血みどろの格闘になりそうな場面も何となく流してしまう展開が面白い。緩みが味となり「ええじゃないか」という昔の日本的な大らかさ、いざ真面目に奇天烈な世界を描き出す作者の筆致を堪能しました

2013/03/14

どんまいシリル

夏目漱石を引きずった感じの、眉唾地底探検。「吾輩は猫である殺人事件」よりは、読みやすく、冒険的で面白い。亡くなったお兄さんとの幻のようなやりとりや、エピソードには、ほっこりする。ただ、「鳥類学者」があまりにも良かったため、これはどうでもいいかなぁと思えるのが正直なところ。

2017/02/20

あんこ

漱石風文体でジュールヴェルヌ『地底旅行』のパロディ、オマージュ?明治の口語調が思った以上に気持ちいいんだヨ。この語り口にするだけで、みんなが陽気な人に見えてくるんだヨ。

2016/03/23

amanon

つい惹き込まれてしまうような軽妙な語り口が先に読んだ『吾輩事件』に通じるものがあるな…と思っていたが、実際に繋がっているのに、思わずニンマリ。果てしなく続く迷宮巡りに、思わずだれそうになりそうなところを、そうならずに読者について来させるのは、著者のストーリーテリングと人物造形の巧みさがゆえだろう。とりわけ憎めない俗物というべき丙三郎のキャラは特筆に値する。この平三郎のキャラといい、彼と主人公の掛け合い漫才的なやりとりといい、森見登美彦の作品に通じるものを感じた。後、続編が予告されているのが気になる。

2024/06/05

momo

富士の真下の地底世界を旅する野々宮と共に、数々の不思議な体験をしてきたという気持ちです。次から次へと奇想天外なことが起こり、はらはらするというよりもそうきたかと、笑ってしまう内容です。そもそも何のための探検だったのかを忘れてしまいそうになるほどのアイデアの洪水の中で、贅沢な時間を堪能しました。奥泉さんの書くダメ男としっかり者の女の魅力は、桑幸シリーズとも共通しています。不思議な設定の物語でも、人物はリアルで、丙三郎のなさけなさが身近に感じられました。ヴェルヌの続編を漱石の文体で読めるという楽しい作品です。

2013/03/23

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