「雁の寺」の真実
「雁の寺」の真実 / 感想・レビュー
ネギっ子gen
【『雁の寺』は、殺人事件物であるけれども、反骨と母恋いの物語である】 水上勉の代表作『雁の寺』を、大江健三郎の装幀などで知られる司修が、作品の舞台を歩き、本人にインタビューしながら検証した書。加えて、「雁の寺」のモデル・相国寺の有馬頼底管長の語りも収録。わたしも、学生時代は京都の臨済宗妙心寺内寺院にいたので、この『雁の寺』や『金閣寺炎上』は共鳴しながら読んだ記憶がある。司修は書く。<『雁の寺』の作者の息遣いは未だ感じられ、塀の染みや苔で色塗られた岩に少年の寂しさや悲しさや憤懣は永遠に生き続けている>と。⇒
2023/06/16
マカロニ マカロン
個人の感想です:B。『雁の寺』参加し、参加し、作品に水上氏の生い立ち、小僧として京都の寺に修行し、2度の逃走を図ったことが投影されていることを知った。本書には水上氏を交えた4人の対談。水上作品の装丁も多く務めた司修氏の『雁の寺』の論考、相國寺金閣寺等の有馬頼底住職の「水上文学と禅」が収められている。『雁』には水上氏の禅寺での修業時代の経験が大いに投影されていることがわかる。戦前の禅寺では住職や兄弟子からの「理不尽な」暴力が容認されていた。鯉を食べる話も経験している。反骨と母恋の小説の原点がわかった
2022/07/18
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