差別・その根源を問う 上 (朝日選書 250)
差別・その根源を問う 上 (朝日選書 250) / 感想・レビュー
南の風
原著1977刊。1963年の狭山事件をきっかけとして、人権問題に深く関わる野間宏と弱者の視点からの文学でデビューした安岡章太郎が、様々なゲストを招いて行った鼎談録。こうしたテーマでは珍しく、ところどころではあるが、自分の経験に即しての「本音」が語られている。水上勉は、自分自身が底辺にいると自分よりも下の人間を見いだすとほっとする心理や、軍隊の中で差別されていた輜重輸卒にさせられたとき、婦人会の人たちの、一生忘れられないような卑しみの眼差しを受けた体験を告白している。どの社会にもある冷酷な差別心の現実。
2017/09/01
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