ソ連のイスラム教徒 (朝日選書 433)
ソ連のイスラム教徒 (朝日選書 433) / 感想・レビュー
印度 洋一郎
1980年代末、間も無く消滅するソ連のムスリム居住地域をアメリカのノンフィクション作家が訪れたルポ。そこには従来窺い知る事の出来なかった、ソ連のムスリムという存在が浮かび上がってくる。帝政以来支配民族ロシア人の統治の下で、資源を搾取し、自立を妨げるモノカルチャー経済、愚民政策と同化政策の併用など正に植民地だった事がわかる。それは共産主義体制でも変わらず、むしろイスラム教への弾圧が強化されていた。随所にムスリム達のロシア人への嫌悪と、ロシア人のムスリムに対する嫌悪が交錯しているが、今はどうなのだろう。
2018/10/15
hazama
10月の半ばに読み始め、読んでる間に色々起きすぎ。とても勉強になった本だった。アルメニアの本は数多あれどアゼルバイジャンについて書かれた本は数えるほどだとか。一番の衝撃で吐きそうだったのは、ソ連ではコーランが持てない(政府により徴収廃棄された)という件。そして1980年代においても、イマーム(司祭のような役割)本人がひとり一冊持つまでしか緩和されなかったとのこと。80年代って俺生まれてんじゃん、何でも読めたじゃんこっちでは……。※余談:越智道雄というとミステリ者的には「Xの悲劇」の人。
2015/11/29
偽教授
ニッチなテーマの本
2014/09/29
月見炒飯
中央アジアから見たペレストロイカというコンセプトで書かれたルポ本。多民族共生を掲げたソ連共産主義体制も、実態はロシア人至上主義の民族の牢獄でしかなかった。ペレストロイカ以前は中央アジア人たちはクルアーンすらも読むことを許されず、モスクも破壊され、文字もキリル文字を強制され、果ては自分たちの名前すらもロシア風にされてしまう(中央アジア人に「〜ノフ」という名前が多いのには前から気になっていた)のは、支配されるとはこういうことかとたじろいでしまった。これでソ連が崩壊しないわけがない。
2021/04/17
感想・レビューをもっと見る