男の恋の文学史 (朝日選書 590)
男の恋の文学史 (朝日選書 590) / 感想・レビュー
佐島楓
近世文学において、目だった女流作家が存在していなかったということが、近世の恋愛観にも影響を与えているのかもしれないと思った。
2018/02/12
chisarunn
文学史における、男性の恋、それも片想いの恋について考察した本。小谷野先生にしては硬いなあと思って読み終えたら、なんと博士論文の書籍化だそうだ。そりゃ堅調なのは当然だな。「片思いとは、いいかえれば、自分の心に愛を感じることのできない不安と同質の、他者、あるいは女性への不安を、激しい感情でもって充塡し、みずからの感情に酔うための装置だったのではないだろうか」おっしゃるとおりです、先生。女はその点、片思いしてもあんまり不安に捕らわれないですよね(私見ですが)やっぱり、恋愛においては男女は斯くも違うのか。
2022/03/30
しんこい
男が恋しているような小説でも、実態は相手に愛されていると分からないと自分も好きと言えなかったり、恥と思ったり、江戸時代から明治、恋愛ものが数多書かれたようでも今とは違うのですね。作者もいうとおり、川端とか違う人についても読みたかった。
2014/02/15
Gen Kato
「『恋愛』は、個々人にとっての『大きな物語』なのだと思う。そして人間は、どうやら『物語』を消費したいという強い欲望を捨てきることができないらしい」「『恋』とは、いいかえれば、『愛されたい』という欲求である」……平安時代の文学、二葉亭四迷、田山花袋、近松秋江らの各論、それぞれ発見に満ちていて楽しかった。
2015/06/21
kokada_jnet
「もてない男」で衝撃を起こす2年前の博士論文刊行本。ただし、後書きではすでに猫猫節が炸裂です。「メタ言語」「ディスクール」等のニューアカ用語が登場するのも、なんとも隔世の感。そして『蒲団』の革新性の解釈には驚かされた。そうだったのか。
2012/01/13
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